中学受験をする小学生女子の共学校志向は年々高まる傾向にあるようだ。「国公立100大学」と「難関私立大学」を対象にした2つの合格力ランキングを全国の女子校で作成してみた。2つの指標で、ランキング上位に登場してくる女子校の名前にはだいぶ違いがあることが分かる。女子校は今後、どうなるのだろう。(ダイヤモンド社教育情報)

進学力で見た日本の女子校

 男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年のことである。

 その影響は女子の大学進学率の上昇という形で現れる。4年制大学への進学者が増加する一方、短期大学は少子化もあって1993年から人気を落としていく。東京の名門女子短大も、1987年の東京女子大短期大学部を皮切りに、学生募集を停止するか、学習院女子のように4年制大学に衣替えするなど、変化を余儀なくされていった。

 「国公立100大学合格力」では、男子の中高一貫校が上位10校中7校を占めていた。一方で、伝統校でも新興校でも、共学校では優秀な女子生徒がけん引役として健闘している。

 中等教育の現場でも、女子校には逆風が吹いている。とりわけこの10年で、難関・上位校はさらに進学志向を強める一方で、良妻賢母型の昔ながらの女子校は志望者数が減少傾向にあり、共学化することで生き残りを図る例が多くなっている。

 そこで、今回は全国の女子校を抜き出して、「国公立100大学」と「難関私立大学」という2つの指標でランキングを作成した。

 いずれも10位以内という女子校は4校あった。桜蔭、女子学院、豊島岡女子学園の東京3校と横浜のフェリス女学院である。東京私立女子御三家は桜蔭、女子学院、雙葉といわれてきたが、近年、桜蔭の妹分のような豊島岡女子学園の伸長が著しい。横浜にも同様に御三家と呼ばれる女子校があるものの、現状ではフェリス女学院が突出している。

 まずは、「国公立大学」合格力で、上位にある女子校を見てみよう。

 1位は桜蔭。もはや不動の存在である。東大推薦入試合格者数ランキングでも、女子校で唯一上位11校に名を連ねていた。その妹分として浮上した5位豊島岡女子学園は、東大合格実績も好調で、ついに高校入試を停止することになった。名実ともに、新御三家もしくは四天王の一員になりそうだ。

 2位は広島のノートルダム清心である。医学部進学志向も強い。ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』の著者で修道女だった渡辺和子さんは本校の学校法人理事長だった

 3位女子学院もミッションスクールだが、京大特色入試合格者数ランキングで14位に入るなど、同じ東京私立女子御三家でも桜蔭とはだいぶ校風が異なる。

 関西では、医学部志向も強まっている4位四天王寺(大阪)、東大2人と京大3人の合格実績を誇る7位神戸海星女子学院の2校がランクインした。公立の共学校が圧倒的に強い中、踏ん張っている。

 北関東を中心に残っている県立女子校では6位前橋女子が強い。

 宮城が県立別学校の共学化を進めた東北では、山形市高等女学校を前身とする8位山形西が唯一健闘している。名目上は共学校なのだが、実際には女子しか生徒がいない不思議な存在でもある。同様に、山形南も名目上は共学校なのだが、実際には男子しか生徒がいない。

 国立女子大学は全国に女子高等師範学校が前身となる2校しかない。奈良女子大学の附属校は中等教育学校として共学化しているので、東京の9位お茶の水女子大学附属が唯一の国立女子中高ということになる。

合格力ランキングの算出方法について(協力/大学通信)
 対象となる大学/医学部ごとに、河合塾による偏差値(ボーダーランク)を主として参照して算出した難度を各高校の合格人数にかけて加重平均した合計を2019年卒業生数で除した。
ランキング掲載対象高校の選定基準
「国公立100大学」に1人以上の合格者を出した2662校をランキングの対象高校とした。合格者数は、私立大と一部の国公立大合格者は大学が公表した人数。推薦など一部の合格者を含んでいないことがある。関西学院大は1人が複数学部に合格しても1人としてカウントした実合格者数のみ公表している。そのほかの大学の合格者数は、各学校に調査した4月末日時点での判明数。非公表や未集計の場合もあるため、空欄でも合格者がいる場合がある。
国公立100大学
【国立66大学】 北海道大 小樽商科大 帯広畜産大 旭川医科大 弘前大 東北大 宮城教育大 秋田大 山形大 福島大 東京大 東京医科歯科大 東京外国語大 東京学芸大 東京農工大 東京芸術大 東京工業大 東京海洋大 お茶の水女子大 電気通信大 一橋大 筑波大 群馬大 埼玉大 千葉大 横浜国立大 新潟大 富山大 金沢大 福井大 山梨大 信州大 岐阜大 静岡大 浜松医科大 名古屋大 愛知教育大 名古屋工業大 三重大 滋賀大 滋賀医科大 京都大 京都教育大 京都工芸繊維大 大阪大 大阪教育大 神戸大 奈良教育大 奈良女子大 和歌山大 鳥取大 島根大 岡山大 広島大 山口大 徳島大 香川大 愛媛大 高知大 福岡教育大 九州大 九州工業大 長崎大 熊本大 宮崎大 鹿児島大
【公立34大学】 札幌医科大 国際教養大 福島県立医科大 群馬県立女子大 高崎経済大 首都大学東京 横浜市立大 新潟県立大 福井県立大 都留文科大 長野大 長野県立大 岐阜薬科大 静岡県立大 静岡文化芸術大 愛知県立大 名古屋市立大 三重県立看護大 滋賀県立大 京都府立大 京都府立医科大 大阪市立大 大阪府立大 神戸市立外国語大 兵庫県立大 奈良県立医科大 和歌山県立医科大 島根県立大 県立広島大 山陽小野田市立山口東京理科大 北九州市立大 九州歯科大 福岡女子大 熊本県立大
国公立100大学合格力
上記の国公立100大学に合格する力を指数化したもの。同数が並ぶ場合、今回の順位は小数点2位以下の差による。2019年と2018年の全国順位も示した。
●難関私立大学合格力
難関私立14大学の、のべ合格者数(関西学院大は実合格者数)を基に算出した。対象は以下の大学:早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大、立命館大、同志社大、関西学院大、関西大、南山大
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