「食べログ」「価格.com」「アットコスメ」「アマゾン」「Googleマップ」等々。口コミ投稿サービスは乱立状態にあり、商品・サービス購入時には参考にしているという人も多いだろう。しかし、こうした口コミサイトでは、低評価をつけることで店や企業から法的措置を取られるリスクもあるようだ。ネガティブな口コミは名誉毀損に当たるのか、新都心法律事務所の野島梨恵弁護士に話を聞いた。(清談社 岡田光雄)

意味不明な通知書で
相手がビビるとでも思ったか

口コミのイメージ口コミで辛口評価をつけることは問題ないが、匿名をいいことに侮辱するような言葉遣いをすればリスクがある Photo:PIXTA

 もし、口コミサイトに「☆」1つの低評価をつけただけの理由で、弁護士を通じて内容証明が届いたら、皆さんならどうするだろう。

 今年7月、ランジェリーブランド「feast」などを手がけるデザイナーのハヤカワ五味さんが、Googleマップで自身が通う歯医者に低評価の口コミを投稿したところ、その5日後、ハヤカワさんは歯医者から弁護士を通じて内容証明を送りつけられ、削除を要請されたことが明るみに出た。

 ハヤカワさんが歯医者に低評価をつけた理由は、かぶせ物の下に虫歯があるなどと言われ約17万円も支払った上、その後も高額な自費治療を執拗に勧められたからだという。

 歯医者側の弁護士からハヤカワさんに送られた通知書の一文には、「星1つの評価それ自体も通知人(この場合は歯医者)の社会的評価を低下させる。名誉権の侵害である」という記載もあったとされている。

「私も通知書の文面を読みましたが、星1つの評価が社会的評価を低下させ、名誉権の侵害であるというのは、正直、ちょっと無理がある言い分だと思います。それが認められてしまったら、口コミサイト自体が違法ということになってしまいますからね。おそらくは弁護士から通知書などを送れば、相手がビビってすぐ削除に応じると思ったんでしょう…」(野島弁護士、以下同)

 ハヤカワさんのようにネット上で影響力のある人物に対し、歯医者側は弁護士を通じて無理のある主張を展開したことが災いし、これだけの大事になってしまったようである。