名誉毀損の要件は3つ
ただし公益目的ならOK

 野島弁護士によれば、自店のネガティブな口コミの削除依頼や法的措置などの相談で、弁護士事務所を訪ねてくる店主は意外に多いという。

「5ちゃんねるなどにネガティブな情報を書き込まれても、サイト運営側は書き込んだ人の情報を開示することには否定的です。警察もなかなか動いてくれないため、相談に来る方は多いです。ただ、話を聞いてみると、それらの口コミは名誉毀損に該当しないケースがほとんど。なので、そういう場合は『ちゃんと仕事していれば良い口コミも増えると思いますから、地道に待つのが一番です』とご回答することが多いですね」

 では、そもそも名誉毀損はどんな要件で成立するのだろうか。

「名誉毀損は『公然と』『事実を摘示し』『名誉を毀損する』の3つがそろって初めて成立します。ただし、たとえこの3つが満たされても、公益目的の書き込みであり、かつその書き込みが真実である場合には、名誉毀損には当たりません」

 名誉毀損が成立するには、不特定多数に対して発信され、事実に基づいていることが条件になる。たとえば、SNSなどで情報を発信する行為は不特定多数に向けてということになるが、「この飲食店はまずい」「この歯医者の治療費は高い」という批評は、事実というより“感想”であるため、名誉毀損には当たらない可能性が高いという。

 あるいは、これらの情報を第二の被害者を生まないための公益目的で発信しているのだとすれば、やはりそれも名誉毀損には当たらないというわけだ。

 しかも、名誉毀損による慰謝料の相場は決して高くはないという。

「名誉毀損が成立したとしても、個人に対してなら高くてもせいぜい50万円、事業絡みの案件でも100万円ぐらい。よく店舗側が『口コミのせいで売り上げが下がったので、その減少分を損害賠償請求する』などと主張するケースもありますが、立証が難しいため裁判所もなかなか認めてはくれないでしょう」

 このように、口コミを理由に名誉毀損が成立し、高額な慰謝料を取られるケースはまれだ。しかし、投稿内容によっては、書き込んだ人間の責任が問われるケースもあるという。