相手の主体性に任せているようで、実はこちらの意図通りに誘導する。そんなテクニックである「ダブルバインド」を、実際のセールスマンたちはどのように活用しているのか。これを知れば、「うまい営業トークに引っかからない」術を身につけられるかもしれない。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
正解を模索する営業マンたち
人気がある心理学ベースのテクニック
営業は商品の販売を使命とする職種だが、成約というゴールに向けてのアプローチは人や会社によってさまざまである。商品の良さをアピールするのが上手であったり、客に考える暇を与えないゴリ押しのテンポ感がつくられたりする営業は実績もそれなりによろしかろう。
一方で「営業とは人と人との対人関係が根底にある」として、まず客との信頼関係を築こうとする営業もいる。「お客様に満足していただけることが至上」を掲げた営業は目先の数字を追わないが、その姿勢がかえって数字につながることもある。
これらアプローチ法に正解はなく、適性があるのみである。会社的には「数字が出せる方法」が正解なのだが、目先の数字を追うばかりで顧客満足を蔑ろにしていては社に対しての信頼感が損なわれ、大局的なところで数字を失うかもしれない。どのアプローチが長い目で見てベターになるのかは、なかなかわかりづらい。