融資を渋る銀行は
日本経済にとって存在意義がない

上念 司(じょうねん・つかさ)
1969年東京都生まれ。1993年中央大学法学部法律学科卒業。在学中は日本最古の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年より、経済評論家・勝間和代と「株式会社監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任。現在は代表取締役。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として経済政策、外交防衛政策など著書多数で、『もう銀行はいらない』(ダイヤモンド社)、『経済で読み解く日本史 文庫版五巻セット』(飛鳥新社)、『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)などがある。テレビ、ラジオなどでも活躍中。

 基本的にお金の量が増えるときに景気はよくなり、お金の量が減るときに景気は悪くなります。
 度を越してお金の量が増えると、かえって景気を悪化させますが、それは年に2ケタ以上の物価上昇(インフレ)率での話です。

 2019年3月の食料とエネルギーを除いた消費者物価の総合指数(コアコアCPI)で見たインフレ率は、たった0・6%にすぎません。

 日銀は「物価の安定を図る」役割を担うことが法律で定められていますが、いまの日銀は物価上昇率2%が、物価の安定を図る状態と考えています。
 その状態に遠く及ばないいま、世の中全体に存在するお金の量(マネーストック)をもっとたくさん増やしても、まったく問題はないのです。

 つまり、銀行がもっとリスクを負って企業や個人への融資を増やしたほうが、日本経済にとってはいいことが起こるわけです。
 逆に言えば、融資を渋る銀行は日本経済にとって存在意義がありません。
 お金を貯め込んでせき止めているのであれば、その存在は日本経済にとって害悪でしかないのです。

 ところが銀行は、担保や個人保証を差し出せる人にしか融資をしない。
 だからまるで質屋のようだと言っているのです。

 その行動原理は、私の事業の話もろくに聞かず、出回りの制度融資を勧めてきたことや、個人資産を担保に差し出すと言えば、すぐに融資してくれたこととも整合的です。
 私から見れば、こんな単純な仕事をしていても成立するのですから、とても楽な商売に思えてきます。

 まさに「岩盤規制に守られた貴族」これがいまの銀行の姿です。

【次回へ続く】