日本郵政株式の第3次売り出しへの影響も
日本郵政の売り出しの行く末は、東日本大震災の復興予算にも影響を与えかねない。
財務省は保有する日本郵政株式の第3次売り出しに向けて5月に主幹事証券会社を公表。当初は8月にも売却が実施されるとの見方も出ていたが、日本郵政グループのかんぽ生命で勃発した不正販売問題により「売却時期は来年以降にずれ込んだ」(引き受け証券会社幹部)。政府は郵政民営化法に基づいて保有する日本郵政株式を3分の1までに減らさなければならないが、これまでの2回にわたる売却で保有比率は56.9%にまで引き下がっている。最後となる3次売却では23.5%を放出する計画だ。
ここで問題になるのは、東日本大震災を対象にした復興財源確保法で、日本郵政株の売却収入4兆円がその財源に組み込まれている点だ。2回の売却ですでに2.8兆円は確保しており、残り1.2兆円を調達する算段だが、日本郵政の株価の低迷や、投資家層の需要が盛り上がらなければその目標の達成が危ぶまれることになる。
市場関係者が声高に日本郵政の減損リスクについて語りたがらないのは、「国の予算に関わるようなテーマを大っぴらにすることで、政府から目を付けられたくない」(運用会社の最高運用責任者)からだ。
15年に、親子上場の批判を物ともせずに鳴り物入りで上場を果たした日本郵政グループの3社。しかし、現在見えているのは上場子会社の株式保有リスクの顕在化に立ちすくむ日本郵政の姿だ。日本郵政の民営化の道筋が、根源から問い直されるときが早晩やって来るかもしれない。