笑顔の社員たち
IT化により対面コミュニケーションが減り、静寂な職場が増えた。だが、果たして業務は効率化したのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

心の不調に悩む人が急増している。その原因の1つは、IT化で仕事の合理化が進み、職場から「笑い」が消えたことにある。こんな話をすると、「何を言い出すのか」といぶかる人もいるかもしれない。しかし、科学的データはそれを裏づけている。ストレスに強い職場をつくるには「笑い」を増やす必要がある。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

IT化で一変した
職場の雰囲気

 IT化により人々の働き方も職場の雰囲気も大きく変わった。コンピューター端末に向かう業務が増える一方で、対面の仕事は大幅に減少。取引先や顧客とのやりとりのみならず、社内のコミュニケーションでさえも電子メールで行うようになっている。

 わざわざ会いに行く必要がないことは便利で効率的かもしれないが、斜め前の席にいる人からも電子メールで連絡が入ることに違和感を覚える人も少なくないだろう。

 こうした働き方の変化は、私たちの心にどんな影響を与えているか、考えてみる必要がある。

 近頃、どの職場に行っても感じるのは、かつてと比べて社内での会話が減っていることだ。
コンピューター端末での作業は、絶えず反応を急かされているように感じられることが多い。その結果、従業員は雑談する気持ちの余裕がなくなり、職場は不気味なほど静まりかえることになる。
 
 かつては社員たちが談笑して和気あいあいとした雰囲気だった職場が、久しぶりに訪れると非常に殺風景な雰囲気に変わっていて驚かされることもある。

 もちろん雑談も程度の問題はある。雑談ばかりで仕事が二の次になるのは困る。だが、ひっそりと静まり返り、ちょっとした会話もはばられるような雰囲気の職場は、果たして仕事の効率化につながっているのだろうか。