「50mを走る速さとお年玉の額の因果関係は?」小学生から始めたい探究の学び  「富士山が一番大きく見えるのは?」という問いに対して、「窓と直角に見えるとき」を全身で解説する飯澤先生(堀川高)

「探究する授業」のワクワクする経験

 では実際の「探究」の授業とはどのようなものなのだろうか。9月に聖光学院を会場に行われたシンポジウムでのショートレクチャーからその姿を探っていこう。

 最初に壇上に立った長尾篤史・文部科学省初等中等教育局主任視学官は、探究的な学びとは「主体的・対話的な学び」だとする。

 主体的な学びとは、アクティブラーニングとして導入されてきているが、予習して疑問点をもって授業に臨むものである。対話的な学びとは、自分の考えを整理して自分の言葉で伝えることにより、考えが深まり広がりが得られるものだ。

 こうした前提に立って、4人の教員の実践例が語られた。

 「堀川の奇跡」と呼ばれた京都市立堀川高は、今では京都を代表する公立校に変貌を遂げている。その一端となったのが、「探究」を導入したことにあった。地学を専門とする飯澤功先生は、「富士山はどのような形をしているのか」を生徒に考えさせる。そして、あいまいな記憶に基づく議論ではなく、記録やデータに基づいて考えるように誘導していく。

 そうした姿勢で「50mを走る速さとお年玉の額」の相関について、グループに分けてその因果関係を話し合ってもらう。こういう問いは1つの正解があるわけではない。さまざまな結論を論理的に説明できるようになることが大切なのだ。