現在の英語教育の最大の問題点は
「会話力重視」路線

 そもそも教育現場でも課題となり、経済界からも強い要請のある「使える英語」とはいったい何なのか。それは「ビジネス現場で使える英語」という意味だ。これまでの日本の英語教育では、ビジネス現場で英語が使える人材が育成できないということになっており、より多くの英語人材を輩出するために英語教育を大きく変えようとしているわけだが、実際には逆効果だ。このままでは、ますます「ビジネス現場で使えない英語話者」を量産してしまうことになる。

 今回は「ビジネス現場で英語を使える人材の育成」がテーマなので、実際にグローバルなビジネスの現場で活躍している人物にも、現場の実態を聞いてみた。当たり前の話だが、日本の学校で英語を教えている人間より、ビジネス現場で闘っている人間のほうがはるかに現場の実情を熟知しているからだ。そこで話を聞いたのは、シンガポールのマイクロソフトで“リーゼントマネジャー”として活躍し、ダイヤモンド・オンライン読者にもお馴染みの人物、岡田兵吾氏。今年9月には『ビジネス現場で速効で使える非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社刊)という著書も出した。ビジネス現場での英語事情を聞くには最適の人物だろう。当記事の中で、岡田氏のコメントもいくつか紹介していきたい。

 では、入試改革よりも優先すべき、現在の日本の英語教育の「最大の問題点」について話を戻そう。それはズバリ、すでに進められている「会話力重視」路線だ。日本人は読み書き・文法は得意だが、英語が話せないと昔から批判されてきた。その問題を是正しようと、小学校から英語を学ばせ、中学・高校の英語授業も英会話重視にシフトし、大学入試でも会話力をテストすることにした。しかし、これが根本的な間違いなのだ。

 日本の英語教育が会話力重視に路線変更してから、日本の生徒の英語力が落ちている――と多くの識者が指摘している。たとえば、アメリカ生まれで、日本の大学で25年以上も学生に英語を教え、『日本人の英語』という英語本のロングセラーシリーズを著しているマーク・ピーターセン氏もこう述べている。

〈一概には言えないが、私が一昔前の授業で出会った学生に比べると、現在の大学生のほうが聞き取りと発音については幾分かよくできるようだ。ところがその代わりと言うべきか、英文の『読み書き』が明らかにできなくなってきている〉(出所:『実践 日本人の英語』マーク・ピーターセン著/岩波新書)

 これはまさに「オーラル・コミュニケーションの弊害」である。ではなぜ、会話力重視の英語教育では英語力が低下するのか。理由は大きく二つある。