模試も受けられない高校生が
英語民間試験を受験できるか

 現在、大学1年生になったミユキさんの子どもは、公立高校の普通科に通っていた。しかし大学受験に臨むにあたって、模試は受験しなかった。理由は「お金がかかるから」。家庭の経済状況が痛いほどわかっていたからだ。大学も「受験料が必要だから」という理由で、1校しか受験していなかった。不合格なら通信課程に進学するつもりだったという。

「幸い、その1校に合格したから、今子どもは大学に通っているわけです。でも、模試を受けることが難しい家庭の子どもは、英語民間試験を受けることも難しいはずだから、受験を断念することもあり得ると思います。英語民間試験を受ければ大学に合格すると、保障されているわけではありませんから」(ミユキさん)

 英語民間試験は、高校3年生になった年度に2回まで受験できる。推進側が主張するメリットの1つは、「機会が増える」ということだ。しかしミユキさんは、「機会が多いとは言えないのでは」と疑問視する。

 ミユキさんの子どもは、高校の団体受験で英検を2回受験している。しかし1回は、病気のため棄権することになった。ましてや今回の大学入試新共通テストの英語民間試験は、高校3年生になってからの「2回」だ。「2回あわせて1発勝負」と考えるのが適切だろう。そもそも、高校は英語民間試験の予備校ではない。

「英会話学校にでも通っていないと、対策できませんよね。学校で、高校英語のカリキュラムと関係が深いわけではない民間試験の対策をすることになったら、本末転倒だと思います」(ミユキさん)

 もしもこのまま、英語民間試験の導入が現実化してしまった場合、ミユキさんが懸念する最悪の可能性は、あらゆる科目への民間試験の導入だ。広く知られている国語の「漢検」に加えて、数学には「数検」、理科には「理科検定」、社会科には「社会科能力検定」がすでに存在する。もちろん、受験のたびに受験料が必要だ。これらが大学入試に導入された場合、「受験料を用意できない」「試験会場に行く費用がない」という理由で大学進学が断念される可能性は、大いに考えられる。