バブル期の不動産投資や海外工事の採算悪化など、幾度も巨額損失を計上してきたが、地道にバランスシートを改善。工事の採算性も上げてきた。

 このところ、複数の証券アナリストが買い推奨として取り上げるなど、株式市場で大成建設を評価する動きが出てきている。

 ほんの数年前、海外工事で大やけどをし、重傷を負っていたことを思い返せば、目を見張る回復ぶりだ。

 2008年のリーマンショックを受けて日本のゼネコンは、ドバイ(アラブ首長国連邦)での大型工事で相次いで巨額損失を出すという危機に見舞われた。

 スーパーゼネコン上場4社の一角である大成建設も、09年3月期には244億円の連結最終赤字に沈んだ(図(1))。

 この頃、企業の倒産リスクを示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も1000ベーシスポイントを超え、メインバンクを同じくする清水建設と経営統合するのではないかとの観測も出たほどだった。