ガイドラインによれば、深夜閉店できるのは最長8時間。夜23時~翌朝7時までの間から、1時間単位で具体的な休業時間を決める。ただし、深夜閉店に踏み切った場合は原則、365日連続で深夜閉店を続けることになる。

 客の多い特定の曜日だけ24時間営業することは可能としているが、お盆や正月といった特定の時期だけの深夜閉店は認めない。また、「平日は4時間休業、休日は8時間休業」といった、曜日別に休業時間を変えることも認めない。「お客様や配送業者に混乱を来す」ことが理由だという。

 夜間帯の配送を巡っては、SEJは今年3月に時短実験を開始して以降、時短を希望するオーナーに対して本部の担当者が、「深夜に一部商品の納入を止める」「深夜の閉店時間中に荷受けのための従業員を置かないと、時短実験への参加を認めない」などの条件を突き付ける“時短潰し”も問題視されていた。

 今回のガイドラインでは、深夜は無人とする場合、配送用トラックの運転手が店舗の鍵を開けて荷物を運び入れる方式と、店外の倉庫に荷物を入れて施錠する方式の両方が提示されている。

 果たして本部は時短営業を後押ししてくれるのか。今回のガイドラインをオーナーがもろ手を挙げて歓迎できないのは、深夜閉店の条件もさることながら、時短を容認したくないという、本部側の“本音”も透けて見えるからだ。

時短希望店がまずやることは人手不足対応
本部の従業員募集システムを宣伝

「深夜閉店を実施する前に」――。

 ガイドラインはこう始まる。本部側が時短営業の“容認”に踏み切った理由について、「昨今、社会環境は大きく変化しており、私たちも過去の延長線ではなく新しい発想の下でお客様ニーズの変化に対応することが求められています」と高らかに宣言。その一方で、「従来通り、24時間営業を期待してご来店されるお客様がいらっしゃる点にも十分留意し、慎重にご検討してください」と、早速くぎを刺している。

 そして続く項目は、「人手不足への対応」だ。ところがその説明の冒頭に書かれているのは、「人手不足を理由に深夜閉店を検討される前に、求人管理システム『リクオプ』、『派遣センター』の利用をご検討ください」という一文。本部が準備した従業員募集システムの“宣伝”であり、その使い方の詳細な説明がなされている。