「ウーバーイーツ」の台頭で
進化する外食産業

 2013年創業の「グリーンサミットグループ」を筆頭に、「ゴーストレストラン」が流行中のニューヨーク。米国では16年に、初めて飲食店での支出が家計の食料品の支出を上回り、自炊離れが起きているといわれている。自宅にいながら外食ができるゴーストレストランは、まさに時代の潮流に乗ったサービスといえるだろう。

米国に比べると、日本でのウーバーイーツはまだまだ発展途上だ

 また、こうした実体のない飲食店が注目を集める背景には、日本にも上陸した米国発のフードデリバリーサービス、ウーバーイーツの登場も大きく影響している。ウーバーイーツはなじみのチェーン店から都内の名店まで、これまでデリバリー不可だった店やメニューに対応し、デリバリーフードの選択肢を格段に増やした。外食産業は、実店舗以外での新たな販路を拡大したのだ。

 ウーバーイーツ側も日本での事業拡大には意欲的だ。コスロシャヒCEOはブルームバーグの取材に対し「日本は国内総生産(GDP)の規模からみてとても重要で潜在力がある」として、正社員をかなり速いペースで増員し、ビジネスを成長させようとしている。現在、米国では全人口の7割が利用可能であるのに比べ、日本の比率は約15%にとどまっており、まだまだ拡大の余地がある。

 ウーバーイーツの拡大は、日本のゴーストレストランの可能性に大きく影響を与えるだろう。「キッチンベース」もまだオープンして日は浅いものの、情報感度が高い中目黒の人々に受け入れられ、徐々に注文数を増やしているという。

「軌道修正できなかった結果、つぶれてしまう飲食店が多いなかで、シェアキッチンというコンパクトな営業スタイルは方向転換がしやすい。キッチンベースでは注文データを蓄積して解析するサービスも提供しています。これによって、効率の良い経営を模索できますし、他店さんとの横のつながりを持つことで、コラボ商品など新たな可能性が生まれることも期待しています」(山口さん)

 山口さんによると、ウーバーイーツや出前館を介して受ける注文データを独自に解析することで、例えば本当にリピート率が高い商品はどんなものか、年代や性差で好みのメニューにどれだけ違いが出るのかなど、実店舗経営では見えにくかった詳細なデータも取ることができるという。

「恣意的な思い込みではなく、データに基づいた本当の人気メニューランキングの作成など、飲食業界にも、もっとデータを使った経営を浸透させていきたい」

 10年後まで残る飲食店はわずか10%。厳しい環境が続く飲食業界を、ゴーストレストランやデリバリーサービスは変えることができるのだろうか。

<訂正> 記事初出時より次の通り訂正しました。 1ページ5段落目:八潮の行列ラーメン店「Handicraft Works」→野菜、フルーツから摂れる様々な栄養をバランスよく詰め込んだスムージー店「MURB スムージーベジー&プロテイン」 取材時と現在では入居店が変わったため、変更しました。(2019年11月13日 15:24 ダイヤモンド編集部)