負債を有する家計のデータを用いた場合

 でもこの結果に違和感を覚えませんか?おそらく1095万円という数字を見て、「俺はそんなに持っていないよ!」と思う人も多いと思います。おっしゃる通りで、これは負債を抱えていない人、つまり富裕層のデータなども含んだ数字になりますので、かなり上方に偏っていると思われます。より一般の実態に近いものとして、負債を保有している世帯のみを対象としたデータを見てみると、50代の純貯蓄額は151万円となっています。これに基づいて必要な積立額を算出すると、まったく運用しない場合、毎月の積立額は10万2722円となり、年率3%のリターンが得られるならば7万7812円、そして年率5%のリターンならば6万3410円になります。十分な資産が50歳時点でないと、毎月の積立額は高額となりますが、一方で50歳を過ぎた頃から子育て期間が終わり、教育負担がなくなる方も出てくるでしょう。子供たちが就職し自宅から通勤した場合、もしかしたら子供たちから賃料や食費のような形で一定の収入を得られるかもしれません。そのような状況になれば、前述の6万~8万円くらいの積立額であれば実行できる方もいるかもしれません。しかしながら、それでもまだ困難な方のほうが多いでしょう。では、どうすればよいのでしょうか?2000万円はあきらめて、老後に倹約生活をしなければならないのでしょうか?

働く期間を延ばすことを考えてみる

 答えはNoです。ソリューションはあります。それは長く働いて引退を70歳にすることです。この場合には準備期間は20年となりますから、先ほどのケースより毎月の積立負担は楽になります。まったく運用をしなければ、積立額は毎月7万7042円が必要となりますが、年率リターン3%で運用できた場合には毎月5万2715円、年率5%のリターンの場合には毎月3万9252円となります。時間をさかのぼることはできないので、「もっと早くに積立投資をしておけばよかった」と思っても“後の祭り”ですが、人生100年時代の今、将来に働く期間を長くすることで、十分な積立期間を確保することはできるのです。

 ただ、この場合、しっかり積立投資することはもちろんですが、それ以上に70歳までしっかりした収入を得られるかがカギになります。そのような良好な状態をキープできるように、50代の今から知識・人脈・健康などの準備が必要になると思います。