相談する高齢者
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 2019年8月27日にようやく公的年金の財政検証結果が公表されました。前回、2014年に実施した際には6月上旬に提示されたのですが、「老後2000万円」問題の影響もあってか、3カ月程度遅れての公表となりました。この財政検証は5年に一回実施されるもので、言わば公的年金の健康診断のような位置づけになります。ここでは、直近の人口動態や経済の前提などに基づいて財政見通しを作成し、2004年の年金改革時の公約である所得代替率50%を達成できるかどうかなどを確認しています。「老後2000万円」が話題になった今、これまで「そんな先のこと考えても意味ないよ。まずは今の生活を考えないと」と思っていた人の中にも、公的年金の将来について関心を持ち始めた人もいるでしょう。そこで、前回(2014年)の財政検証結果と比べつつ、今回(2019年)の結果をひもといてみます。

*現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率。年金額は夫婦二人、妻が専業主婦の場合で計算

前回よりもわずかに改善

 まず、所得代替率が目標の50%を確保できているのか見てみましょう。前回と同様、いくつかの将来シナリオを置いて分析していますが、最も望ましい「経済成長と労働参加が進むケース」では、将来の所得代替率が50.8~51.9%となっており、50%を無事に達成できています。前回は50.6~51.0%でしたので多少改善しています。一方、「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」では、44.5~46.5%となり目標を達成できません。それでも前回は42.0~45.7%でしたので、こちらも多少の改善が見られます。一番悪い「経済成長と労働参加が進まないケース」では、積立金が枯渇するため、所得代替率は36~38%まで低下します。それでも前回はもっと低く35~37%でしたのでやはり若干良化しています。このようにすべてのケースで所得代替率の改善が見られていますが、この要因は何でしょうか?