パーソナルブランドがあるから一頭抜きん出る

 全国に税理士は7万人以上いて、その数は年々増え続けています。ところが税理士の主要顧客である中小企業は、1990年を迎えるころに開業率と廃業率が逆転し、以来廃業率が開業率を上回り続けています。しかも統計は06~09年の開業数が一段と減少したことを示しています。(参考:中小企業白書2011年)その結果、税理士の顧問料の価格破壊が始まっています。

 そこにいち早く気付いた後藤さんのように、パーソナルブランドを構築しなければ、選ばれる税理士として新規顧客を獲得することはできないでしょう。後藤さんは自分と共通する要素、興味のある部分にフォーカスすることでパーソナルブランドを構築しました。「目黒」に特化した「起業家や二代目」の相談相手と、明確に強みを打ち出したことで、起業家や二代目経営者から親しみやすい共感を得ることができました。また税理士業界は30代40代合わせて全体の4分の1強で大半が50代以上という高齢化社会です。若さが有利に働きました。

 後藤さんは自身が持っていた強み「目黒の若手経営者の相談相手」を自分自身のビジネスモデルとしてブランディングしました。けれど、パーソナルブランドはつくった時点で完成ではありません。仕事が発展するにつれて強化され続けるものでなくてはなりません。後藤さんがプラスした「相続」という強みは、さして特別な強みではありません。相続でも事業承継、不動産、生前贈与、養子縁組、農業相続等々特殊な条件に詳しいことを強みにしている税理士が大勢います。後藤さんの場合、ここで「目黒に特化した専門家」が生きてきます。目黒区は地価の高い住宅街が多く相続にプロの力を必要としている人が多いので、必然的に後藤さんも個人財産の相続に強くなります。

 1つの分野でパーソナルブランドを確立した後は、自分の変化に合わせてパーソナルブランドの領域を広げていくことも可能なのです。

売り込まずに集客する、を実現するには…。自らの価値を知りそして、情熱を傾ける分野に強みを見出し、インターネットを営業ツールとして時間と労力を費やしながら明確に打ち出し、貢献を続けることができれば、若手の士業であっても、実現することができる。それを後藤さんは証明してくれています。



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