全てのタイプに
負のインパクトを与える

 パソコンの一斉強制終了が、職員のモチベーションをいかに低下させるかは、人の意欲を高める要素を考えてみるとわかりやすい。私は20年来、ビジネスパーソンとビジネススキル向上演習を実施する中で、意欲が高まる要素を「モチベーションファクター」と名付けた。これは6つに分類されると考えている。そして、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、この6つの要素に、だいたい均等に分かれる。

 これらのモチベーションファクターのいずれの要素の持ち主も、今回のパソコン強制終了宣言でモチベーションを低下させてしまう。「目標達成」のモチベーションファクターの持ち主は、パソコン強制終了でチャレンジし続けることへの障害を突き付けられて意欲が低下する。「自律裁量」の持ち主は、時間コントロールの裁量が減ってモチベーションが下がる。「地位権限」の持ち主は、責任を果たせなくなり意欲が下がる。

「他者協調」のモチベーションファクターの持ち主は、協力関係を築く時間が限られ意欲が低下する。「安定保障」の持ち主は、安定的な業務遂行が損なわれるリスクに反応しモチベーションが下がる。公私に限らずさまざまな仕事のバランスをとることで意欲が上がる「公私調和」の持ち主は、限られた時間内で仕事のバランスをとりづらくなり、意欲が下がるというわけだ。

 なかには、府庁全体で足並みそろえてのパソコンシャットダウンなので、意欲が上がる他者協調型の人、残業過多のリスク回避の観点からモチベーションが上がる安定保障型の人、18時30分以降のプライベートタイムがしっかり確保できることから意欲が上がる公私調和型の人もいるだろう。しかし、大勢は、モチベーションを下げるインパクトの方が大きい。それが18時30分パソコン強制終了というメッセージが持つ負のパワーだ。