人手不足が深刻
原因は賃金格差

 矢萩氏は、現在の学習塾は二極化に向かっていると分析する。

「小さな町の塾の場合ですと、いかに家に近いか、授業料が安いかなどが、いまだに選ぶ基準にされたりもしますが、最近の保護者さんはそういう塾を選ぶにしても口コミが決め手になってきていますね。そして小さな町の塾では、生徒さんとの関係性があるのは大前提として、保護者さんと、どの程度いい関係が作れるかが重要です。一方で、昔からあるような大手の進学塾(受験指導をする塾)では、合格率や偏差値といった“数字”を求められることに変わりはないでしょう」

 つぶれている学習塾の多くは、「保護者から評判のいい塾」と「数字を出せる塾」のどちらにも属さないところがほとんどなのだ。

 学習塾業界衰退の原因の1つには、働き手不足の問題もある。この業界は賃金格差が大きいため、働き手の不満がたまりやすいという事情もあるようだ。

「塾によって教室長や講師の給与にはかなり格差があります。たとえば、ある大手の教室長や専任講師は年収800万円ですが、別の大手塾では400万円。2人とも同じ年齢であるにもかかわらずです。あるいは、準専任やアルバイトの講師でも、年収300万円以下の人もいれば、500万円以上の人もいるという具合で、格差は大きいですね。一概にはいえませんが、塾業界ではいったん上げた給料はなかなか下がらないという傾向があり、入社時期が古い人ほど、時間給講師でも高額な収入を得ているケースが多いようです」

 無論、勤続年数が長い、イコール優秀な講師というわけではない。

「本来、塾講師は普段から教材研究などを行い、知識をアップデートして授業に臨むべきですが、中にはまったく予習をせず、授業で何十年も同じことだけを話し続けている人もいます。また質の低い講師がいたとして、クレームが入っても、なんとか1年間授業を回すことができれば生徒は卒業するか、いなくなるため、講師はクビにならずにずっと居座り続けることもできてしまう。大手の場合も、講師を定期的に別の校舎に異動させることが多いため、保護者さんに不人気な講師でも、場所を変えて居座り続けることができてしまうのです」