社長や経営幹部が大株主
経営者と投資家の利害が一致するということは、投資家にとって“超”がつくほど大切です。
社長や経営幹部が大株主であれば、自社の株価を上げることが自分の給料やボーナスを上げる以上に個人資産の増加に貢献しますから、投資家と利害が一致します。
日本企業で5番目に時価総額が大きい(約8兆8817億円:2019年11月27日時点)ソフトバンクグループの筆頭株主は、創業者の孫正義です(保有株式:21.94% 2019年3月31日時点)。
孫社長の役員報酬は年間約1億3700万円ですが、株主としての配当収入は年間約101億7300万円と、株主としての収入のほうがズバ抜けて多いのです。
ソフトバンクグループは超大型株ではありますが、経営者と投資家の利害が一致しているという点では、投資家にとって大きな魅力です。
投資先候補の大株主上位10名がどんな人物で、どんな立場で、どういった行動をしそうかまで考えると、その会社の隠れたポテンシャルに気づくことができます。
創業社長や創業メンバーの保有株(自社株)は、その会社に成長余力があるうちは売られることがほぼありません。
自分の会社の伸びしろは、その会社の経営陣がいちばんよく理解しているからです。
逆にいうと、大株主の経営陣が自社株を売りはじめたら、「そろそろ自社の成長に限界を感じてきたのかな」とも考えられます。
IR(投資家向け広報)の担当役員がその会社の大株主であれば、IRの内容が株価上昇を意識した内容になるケースが多いです。
また、人材採用の担当役員がその会社の大株主であれば、採用基準に株価を上げてくれそうな人材を雇おうとするバイアスがかかります。
とくに現役の創業社長が筆頭株主である場合、社長にとって株価を上げることが自分の資産を増やすことに直結するので、株価上昇を強く意識した経営が展開されます。
一方、社長が自社株をほとんど保有していない場合は、自分の給料を増やしたり退職金を満額もらったりすることが自分の利益に直結します。
そのため、保身に走ったり、都合が悪い情報を隠蔽しようとしたりする方向にバイアスがかかります。
ここ数年でも東芝や富士ゼロックス、オリンパスなど、大企業の粉飾決算が騒がれましたが、これは大株主に名を連ねない経営陣が保身に走った結果とも受けとれます。
大株主の情報は、「会社名 大株主」とネット検索すれば、すぐに出てきますから、必ずチェックするようにしてください。
<次回へ続く>