生徒のこの発言は、「人の助けを借りずになんとか自分1人で解きたい」という気持ちの表れであり、そのように生徒が言った場合は、私は生徒の意志をできるだけ尊重します。
生徒が「先生、もうちょっと考えさせてください」と言っているのに、「いや、他の問題も解かないといけないから、そろそろ解説するよ」なんて言うと、たいていの場合、生徒はがっかりした表情をうかべ、生徒のモチベーションを下げてしまうことにつながります。
生徒にとって良い先生というのは、「生徒にできるだけ考える機会を与え、どうしてもわからないときだけ、ヒントを言ったり、わかりやすく解説したりする先生」なのです。
生徒がこれ以上考えても解けそうにないという状況になったときに、それを打開するために1つだけヒントをあげたり、ヒントをあげても難しそうなときは解説したり、と臨機応変に対処することが必要です。
苦労して解くことの意味
少し話がそれましたが、算数・数学が得意な子というのは、1つの問題が解けるまでなかなかあきらめようとしません。
「先生、今日はこの問題、解説しないで。家に帰って1日考えてみるから」と言う生徒さえいます。
そのような生徒はなぜ、そこまでして自力で解こうとするのでしょうか。
それは、苦しんで解けたときの喜びを知っているからです。
算数・数学の問題を解けたときというのはうれしいものですが、そのうれしさにも程度の違いがあり、解くのに苦労すればするほど、解けたときの喜びは大きくなるのです。
苦労してやっと解けたときの喜びを知っている生徒は、簡単にあきらめようとはしません。