多くの場合、この2つはたがいに連動し、あるいは、補完しあう関係にあります。社会的に自分が認められているという感が高まると、自己肯定感も強化されますし、逆に、社会的に認められているという感覚が低ければ、自己肯定感もそれにつれて低くなりがちです。

 具体的には、たとえば、望む仕事に就けたことで、社会に認められているという確信が高まると、多くの人たちは自己肯定感も高まりますし、会社を解雇されて無職の状態が長く続いたりすれば、社会から認められている自分という感覚が曖昧になり、そのことによって、それまでは高かった自己肯定感が低下する人も多いでしょう。

 つまり、アイデンティティという名の土台が堅固であれば、社会に出たときも、多少の困難に遭遇しても揺らぐことなく、安定して立っていられます。しかし、それが脆弱だと、衝撃を受けたとき、たとえそれが小さなものであっても、土台が揺らぎだし、その上に立っている人間もグラグラと揺れてしまうでしょう。このような不安定な状態のまま外へ出ていくのは大きな不安と恐怖を伴うので、家に閉じこもってしまう…。ひきこもりがアイデンティティを獲得できていない状態(これを「アイデンティティの拡散状態」と言います)にあるというのは、そういう意味なのです。

 次回は、具体的にどのような人がひきこもりになりやすいのか、また、ひきこもりとなるきっかけや過程はどのようなものかについて2つのタイプ別に掘り下げていきます。

>>次回は12月25日(水)公開予定