それが2017年頃から、コンゴ民主共和国の中央部から東部にかけて、はしかの流行が始まり、現在ではすべての州へと拡大し、大きな問題となっている。

 はしかは、ウイルス性疾患の中でも感染力が強く、住居を共にする家庭、幼稚園、学校などの人が集団でいる場所、干ばつといった自然災害などの避難所、戦争などの難民収容所では、患者が1人出ると、瞬く間に免疫のない他の子どもたちに感染してしまう疾患である。

 災害時の避難所や難民収容所等でも、最初に取られる対策がはしかの予防接種である。症状としては、高熱が2~3日続き、弱い子どもはそれで死亡してしまう。また栄養状態等により肺炎にもなり、死亡率は高い。コンゴ民主共和国では、2019年1月から8月まで、14万5000症例、275人の死亡者が出ている(WHO)。

 同時期のエボラによる犠牲者の数よりも多い。治療法もないため、予防接種の実施が重要な対策である。これまでもコンゴ民主共和国では定期の予防接種をしているものの、そのカバー率は70%に達せず(通常、はしかのワクチン接種カバー率は95%が必要)、はしかの流行が懸念されていた。

 WHOやユニセフなどもはしかの予防接種キャンペーンを流行地で実施しており、流行の拡大を防ごうとしているものの、防げていない状態である。このはしかも、初期ではエボラとの見分けはつかない。

チョポ州キサンガニの保健センターにおけるはしか予防接種キャンペーン
チョポ州キサンガニの保健センターにおけるはしか予防接種キャンペーン

なかなか終わらないコレラの流行と
手洗いの習慣

 もう1つ、エボラと見分けのつかない病気がある。水様下痢で有名なコレラである。

 2017年から中央部で始まった流行が全国に広がり、多くの病院にはコレラ患者を隔離するコレラ治療ユニットが設置され、対策治療が行われてきたが、流行は継続しており、2019年1月から6月までにコンゴ民主共和国全26州の中、20州で流行、1万2000人がこの病気にかかり、260人が死亡している(Europe Commission, ECHO News)。コレラは発熱の後に、大量の嘔吐、下痢を起こすもので、これもまたエボラとの区別はつけにくい。

 ただ、適切な治療である、点滴や経口補水液を投与することにより水分の補給を4~5日しっかり行えば、回復し死ぬことは稀(まれ)である。JICAプロジェクトの地でもあるコンゴセントラル州でも2地域での流行があり、この2カ所の保健医療スタッフに対してコレラ治療、マネジメントの研修を実施した。