体重計写真はイメージです Photo:PIXTA

 現在、2型糖尿病(2DM)が強く疑われる人は、約1000万人、このうち通院加療している人は約329万人とされている。

 2DMは血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌障害や、加齢や過食、肥満の影響でインスリンに対する反応が鈍くなり生じる内分泌疾患だ。

 日本人は遺伝的に欧米人よりもインスリンを分泌する能力が低いため、過食や肥満、運動不足などの影響を受けやすい。逆にいえば健康的な体重と生活習慣を維持しておけば、病的な状態になるリスクは低い。当然、適正な体重管理の恩恵が大きい。減量することによって、寛解(再発リスクはあるが減薬や中止が可能な状態)に至ることも夢ではない。

 2DM患者の減量については、現体重から少なくともマイナス15キログラムなど、厳格なダイエットが必要とされてきた。しかし、英ケンブリッジ大学の多施設共同研究によると、現体重の10%を減らすだけで、寛解に至る可能性が77%、有意に高まるという。

 同研究は2DMを発症した住民867人(平均年齢61歳、男性6割)を対象に、体重の変化率と寛解率を追跡したもの。被験者は過去数カ月間の血糖値を反映するHbA1c値6.5%未満を達成した時点で寛解と判断された。

 5年間の追跡期間中、257人(3割)で2DMの寛解を認めた。特に、追跡初年度に体重が変化しなかった群の寛解率を1として減量別に比較した結果、登録時の体重から1年以内に10%以上減量した群の寛解率は7割以上、有意に高いことが判明したのである。

 ゆっくり1~5年をかけて10%以上減量した人や、同じく5~10%減量した人の寛解率も有意に高かった。研究者は「多少の減量でも寛解につながる」とし、極端なダイエットは不要だとしている。

 同研究の対象者の9割は白人種だ。日本人なら現体重の5%程度の減量で同じ恩恵が期待できる。

 2DMの方、あるいは健康診断で高血糖を指摘された方は体重計を相棒にして、食事療法でも、運動療法でも好きな方法でプチダイエットにトライしてみよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)