米国の入試のように
記述式を入力方式にしたらどうか

 では、別の解を考えてみましょう。これはアメリカの入試などで実用化されている方法ですが、記述式を手書きではなく、入力方式にする手はあります。入力をデジタル化すると、それがよいかどうかの議論は別にして、手段としては採点をITないしはAIに任せることができます。コンピュータが読み込んだ回答に対して、採点基準としていくつかのキーワードを設定し、そのワードが含まれていれば正解とする、ないしはいくつワードが含まれているかで得点を設定する、といった方法です。

 たとえば国語で、以下のような設問があったとしましょう。

「(次の文章を読んで)わが国の労働者の基本的な権利はどのように法律で守られているかについて、200字以内で述べなさい」

 この場合は、設問の文章の中に予め書かれているであろう「労働三法」「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」「団体交渉」といった言葉が、受験者の解答に含まれているかどうかで、点数が決まります。

 ただこの方法で「記述式で、数日間の採点期間で」という条件を満たしたとしても、もともとの前提条件である「55万人分、同時に同じ問題を」の方が、今度は課題になりそうです。

 というのも、現実的に55万人分のパソコンを用意するのは難しいだろうし、だからと言って受験者本人のスマホを使ってもいいルールにすると、カンニングの怖れが新たに出てきます。解決案があるとすれば、受験者が使える機能を絞ったスマホかタブレット端末を、政府予算で55万人分用意するというイメージでしょうか。

 また、より本質的な問題としては、いくら近年コンピュータやAIの読解力がある程度高まっているとはいえ、「そもそもAIは読解力が高くない」という事実があります。頑張ってもグーグル翻訳程度の能力しかない読解力が低い機械に、そもそも英語ほど論理的な言語ではない日本語の記述式問題の採点を任せるということ自体が、解決策としては適正ではないかもしれません。