池袋消費増税が個人消費に与える影響は、言われていたほど小さくなかったようだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

不況入り寸前の製造業
底堅い非製造業

 世界経済の減速を背景に、輸出が力強さを欠き、生産活動も弱含んでいる。この結果、製造業の企業収益の悪化が続いており、製造業部門はすでに「不況」ともいえる状況だ。しかし一方で、内需は堅調で非製造業の収益は底堅い。日本経済全体でみると、成長は保たれており、景気の失速は回避されている。弱い外需と堅調な内需、製造業の弱さと非製造業の底堅さ、という組み合わせが続いていることは、12月調査の日銀短観でも示された。

 12月調査の日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断DI(※)が大企業・製造業でゼロと、9月調査に比べ5ポイント悪化した。中小企業も含む全規模ベースでは、製造業のDIはすでにマイナス(いわゆる不況)に転じており、大企業でも不況入りの瀬戸際まで来たことになる。

※業況判断DIは、景気が「よい」とする企業の比率から「悪い」とする企業の比率を差し引いた値

 一方、大企業・非製造業の業況判断DIはプラス20と、9月に比べ水準を落としたものの、低下幅は1ポイントにとどまった。業種別には、小売業のDIが大幅に低下したが、宿泊・飲食サービスや運輸・郵便などでDIが上昇したほか、その他の業種ではDIの低下が小売業に比べ小幅にとどまっている。

製造業の悪化は
景気底割れにつながるか

 製造業部門の悪化が進めば、製造業の設備投資や同部門の就業者の賃金、雇用が抑制され、内需も弱含み、景気が底割れに至る可能性が指摘されてきた。また直近では、堅調な内需の抑制要因となる消費税率の引き上げが実施され、消費などに対する悪影響が懸念されている。

 先に述べた通り、日銀短観では、小売業の景況感の悪化が確認されているが、足元では消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動や、増税による販売額の減少も明らかになっている。消費税率引き上げの影響については、当初は駆け込み需要が相当小さくなるとの期待もあったが、当初の予想に比べ駆け込みの規模は大きく、税率引き上げ後にその反動で落ち込んでいる。