『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム対応のプロ、山下由美さんがこれまでにない画期的なクレーム対応の話しかたを初公開。「怒鳴る」「キレる」「自分が正しいと言い張る」「理詰めで責める」「言い分が見当違い」「多人数で取り囲む」「シニアクレーマー」などあらゆるお客さまからのクレームを、たったひと言「そうなんです」と言わせるだけで解決します。
下請け企業の“弱み”につけ込むクライアントからの悪質クレーム
お客さまからの悪質クレームも問題ですが、下請け企業がクライアント(元請企業)からつけられる企業クレームもやっかいです。
実際、私の取引先にも多くの中小企業がありますが、「下請け企業は、元請け企業からの悪質なクレームにどこまで我慢すべきか?」といった相談をよく受けます。
たとえば、次のようなケースです。
あるネジ工場に、クライアント企業から電話がかかってきました。
お客さま「〇〇機器のMだけど」
担 当 者「いつもお世話になっております!」
お客さま「あんたさぁ〜、俺、今回のネジは30番だって伝えたよね。なんで32番が納品されてるの?」
担 当 者「えっ!? たしか当初のご注文伝票では31番でしたが、発注ミスとのことで、訂正のお電話をいただいたものですよね?」
お客さま「そうだよ。そのとき、30番だって伝えたよな」
担 当 者「いえ、32番です。こちらのメモにも残っています」
お客さま「何、言ってるの! 32番なんて注文するわけないだろ? おたくだって、どんな商品に使うか知ってるだろ。百歩譲ってこっちが間違ったとしても、ちゃんと確認するのが、そっちの仕事だろ!!」
担 当 者「そう言われましても、過去にも何度か32番をご発注いただいたことがありまして……」
お客さま「それは俺の前任者の時の話だろ! 俺より前任者のほうが偉いっていうわけか?」
担 当 者「いえ、そのようなことはひと言も……」
お客さま「いちいち口答えするな!とにかく、間違ったのはそっちだろ!! こっちは生産ラインがストップして困ってるんだ。その分の損害は補償してもらうぞ」
間違ったネジの代金は計100万円でしたが、なんと、後日、クライアントからは、本来完成していたはずの製品分の代金1億円と、生産ラインが止まった3日間の休業補償として1000万円を請求されました。
社長と上司が連日、各所へ謝罪に出向き、最終的には300万円の補償で話がつきました。決着したこととはいえ、無駄な300万円の損失に、「あいつのせいで300万円も!」と、担当者はしばらく針のむしろに座らされた思いでした。