クライアント企業からのクレームも、対応はお客さまと同じ
このようなトラブルが発生した場合、下請け企業がどこまでクライアント企業の要望を受け入れるかは難しい問題です。断れば、その企業との決別を覚悟しなければなりません。この関係は何かと似ていませんか? そうです、お客さまとの関係と同じです。
クライアント企業からの要望は、言わば「クレーム」です。ですから、良好な関係を築こうとするならば、クライアントの気持ちを代弁してあげて、相手の望む答えを、こちらができる範囲の商品やサービスの形にして提供してあげればいいのです。
しかし、クライアント企業のなかにも、「悪質クレーマー」がいます。前出のケースのように、無理難題な要求を突きつけてくる企業が少なからずあります。こうしたクレーマー企業と付き合いを続けるかどうかを決めるのも、クレーマーへの対応とまったく一緒です。相手に改善を望むのは難しいでしょう。
前出のケースでは、300万円の支払いで短期的な解決を見ましたが、相手企業もしくは担当者の悪質クレーマー体質が改善されたわけではありません。今後、似たような出来事が繰り返される可能性は高いはずです。
もちろん、だからと言って、今すぐ関係を絶つことをおすすめしているわけではありません。決めるのはあくまで各企業です。ただ、その際にクレーム対応の視点で見直してみると、関係性を維持すべきかどうか、よく見えてくると思います。
お客さまに一人、やっかいな悪質クレーマーがいるだけで、社員は疲弊します。もし相手が企業なら、その比ではないでしょう。現場で働く社員の誇りとサービスの質を保つため、悪質クレーマー企業にどう対峙していくかは、見過ごせる問題ではありません。
社員任せにせず、企業が責任を持って対応を協議し、明確な方針を示すことが大切です。