「プロ化」には企業も慎重に
立ちはだかる高いハードルとは?

 ただ、人気が定着するかは未知数だ。協会はラグビー人気を定着させる方策として、2021年秋を目標にトップリーグをプロ化する構想を打ち出したが、プロ化に手を挙げる企業が少なく順調に進んではいない。プロ化するには新たにチームを運営する会社をつくらなければならないし、観客動員や放映権料などで経営を成り立たせる必要がある。リスクのある挑戦なのだ。

 企業側も「現状でも日本代表はW杯で強豪と対等に戦える実力をつけたし、その人気で観客も増えた。苦労してプロ化することはない」という姿勢になっているという。

 1993年にプロ化したJリーグはそのリスクをとった。企業依存体質から脱却し経営を成り立たせるには、地域に密着したクラブをつくるという考え方でプロ化を成功させた。身近にクラブとスタジアムがあれば試合を見に行きやすいし応援する気にもなる。その人たちが熱心なサポーターに育てば人気は定着し、経営も成り立つというわけだ。

 だが、現状のトップリーグはホーム&アウェーという地域性とはあまり関係なく試合が行われている。当面はW杯人気で会場は満員になるだろうが、応援したいと思った選手やチームが身近で試合をしなければ、次第に熱気が冷めていく可能性があるのだ。

 ラグビーもJリーグに倣い、プロ化ではW杯が行われた12のスタジアムがある都市にチームを置こうとしている。この方向性に合うチームもないわけではない。群馬県太田市を本拠地とするパナソニックは今季から近隣の熊谷市をホームグラウンドにした。

 リーチマイケルが所属する東芝、松島幸太朗がいるサントリーはともに東京都府中市に練習場があり、住民にはラグビーの町という意識が強い。近くの東京スタジアムをホームにするプロチームができるのは大歓迎だろう。神戸製鋼も地域貢献活動には熱心だし、神戸市内のW杯会場になった御崎公園球技場をホームにできる。

 だが、多くのチームが関東圏に集中しているし(16チーム中6チーム)、札幌、大分、熊本はトップリーグと縁が薄い土地。地域密着型のプロ化には高いハードルがあるのだ。

 ラグビー人気を定着させるには、トップリーグの選手たちが今の熱気を冷まさない好試合を見せ続けることと、その熱気が続いているうちに協会が努力を重ね、プロ化を実現させることではないだろうか。

(スポーツライター 相沢光一)