セミオーダーの箱に凝らされた工夫
アースダンボールの製品群の中で、その大きな特徴となっているのは、セミオーダーの商品である。そこには原価を下げ、顧客に適正な価格で、多くの選択肢を提供する知恵が詰まっている。
アースダンボールの奥田敏光社長 |
セミオーダーのダンボール箱だと「抜き型」というものを、写真をとってホームページ上で公開し、お客様に使って頂くという仕組みを作りました。それもこれまで、ご注文いただいたもので、汎用性のあるものを公開していくということによって、だんだん数が増えてきた。
抜き型というのは、注文された箱の大きさのベニヤを用意して、そこに刃を埋め込んだものです。それは型屋さんで作ってもらいます。機械に抜き型をセットして、プレスしてダンボール箱を作っていくわけです。抜き型は2万円から5万円、大きい物だと10万円くらいかかる。1人のお客様しか使わずに、次の注文が1年後だったりすると、1年間、抜き型が遊んでいる。
いろいろな客様から注文もらって、数が増えると抜き型の管理も大変です。それで「型」をホームページで公開して、他のお客さんに使っていただく。定期的に使うと「型」自身にもいいし、既存の型ですむセミオーダーのお客さんは型代もいらない。両方にとって、良い仕組みです。万が一他のお客様のために使って減ったりしても、公開したものは10年間保証しますよということでやっています。
普通の会社ですと、2年から3年で型は処分するか、お客さんに返します。もちろん「型」の中には、公開出来ないものもある。お客様のノウハウが入っていたり、複雑な形状である客さん専用で作っているとか。それでもホームページの方で、公開しているのは約780種類あります。全て箱の写真もとって、寸法別にソートが出来るようになっている。値段も無地の時、印刷の1色の時、2色の時という形になって、全部見積もり値段を出してあります。
かつては趣味がてら、自分でプログラムを書いていましたが、いまホームページの開発は社内にSEが2人いるので、そのSEがやっています。社内システムもかなり出来あがっていて、ウェブからの注文の取り込みから、材料の発注から進行管理、請求書発行、伝票発行、入金の管理まで全部システム化して、社内のサーバーでやっている。全て内製したものです。
ウェブのほうは最初、既製品のツールを使っていましたが、それだと件数的に追いつかなくなった。社内で作りサーバーをたててやらないと、効率的にうまくいかない。しっかりとしたものを作りこんでいくということで、今のようなシステムに発展していったということです。