冬季休暇の旅行やお正月の里帰りなど、何かとドライブの機会が増えるこの季節。昨今はあおり運転による事故が社会問題化し、交通トラブルが増加している。そんなドライバー同士のコミュニケーションをスムーズにするために使われているのが、ハザードランプやホーン、ライトを使ったマナーの数々だ。ただし、これらは交通法規で定められているものではなく、なかなか相手に意思が伝わらない場合も多いようだ。(清談社 松嶋千春)

『サンキュー』の思いは
すれ違いがち

高速道路の渋滞
ハザードランプやホーン、ライトを使った「お礼」や「合図」が運転マナーとして知られているが、中には地域によって意味が変わってくるものもある Photo:PIXTA

 有名な運転マナーといえば、追い越し車線から走行車線に入ったとき、後続車に向けてお礼としてハザードランプを点滅させる「サンキューハザード」や、交差点で右折待ちしていると対向車線の車がライトを点滅させる「行ってもいいよ」の合図が思い浮かぶ。モータージャーナリストの菰田潔(こもだきよし)氏は、これらのローカルな運転マナーのリスクを指摘する。

「サンキューハザードは、元々大型トラック同士が見渡しにくさを補うために始めたコミュニケーションで、それが一般車両にも派生し『サンキュー』の意思表示として定着してきました。しかし本来は、止まってはいけない所に止まった場合に『ここに障害物がありますよ』『車がいますよ』と周りの車に知らせるためにつけるもの。本来の意味とは違った使い方をすると、誤解を招く恐れがあります」(菰田氏、以下同)

 例えば、市街地でタクシーを前方に入れてあげた直後に、タクシーがハザードランプを点滅させたとする。すると、客を降ろすための停車合図としてつけたのに、タイミング的に後続車のドライバーがサンキューハザードだと思い込んだ場合、追突事故につながった例もある。

 あるいは、片側3車線道路のバス停から発進したバスが、真ん中の車線まで移りサンキューハザードをつけた場合、左右の車線にいる後続車両から片方の点滅しか見えず、右折/左折の合図として捉えられる可能性がある。「バスの後続車はバスの走行を妨げてはならない」という法律に従い、バスが自分の車線に来ると思った後続車は、ブレーキをかけて道を譲ろうとしてしまうかもしれない。

「マナーは作法みたいなものであまり気にする必要はなく、基本的には、道路交通法のルールをちゃんと守ることが最優先です。最近やたらとマナーを重視する傾向が強くなっていて、逆にお礼を言われないと気分を悪くする人もいるぐらいです。この本末転倒な運転マナーの傾向は、是正したいと思っています」