「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
2冊目の著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。ビジネスマンにも役立つエッセンスを語ってもらった。

新年に始めたい! 東大卒プロゲーマーがつけている「メンタル通信簿」Photo: Adobe Stock

僕らは自分でも気づかないうちに無理をしてしまう

 メンタルに大きな負荷をかけない。そのためには、常に自分の状態を知っておくことが必要です。僕らは自分でも気づかないうちに、無理をしてしまうことがよくあるからです。
自分のことをモニターするために、僕は1冊のノートを使っています。毎朝、昨日1日の自分の状態を記録する、いわば「自分の通信簿」です。

 通信簿にはジム・レーヤー『メンタル・タフネス』(KKベストセラーズ)を参考に、
・睡眠時間
・食事の回数
・脈拍
・ストレス量
・感動の回数
・幸せ度
・タフな行動
・とったカフェインの量
など、25項目を、1〜10の10段階(項目によってはA〜Fの6段階)で評価して記録しています。

 ノートを書いてみると、昨日のよかったところ、よくなかったところがわかります。つまり頭の中の整理整頓ができるので、気持ちを振り向けるべき点が明確になり、自動的にそれを意識します。

 この「自動的に意識させられる」ところが、意志の力を使わないので面倒くさがり屋の僕には大変ありがたいです。

 やることは毎朝、機械的に決められた項目に点数をつけるだけ。採点もあまり厳密なものではありません。
 先日も練習でいまいち集中を欠く日が続いたことがあり、「最近なんとなく、体調が悪いな。なぜだろう」とノートを見直したところ、どうやらジムワークの時間が影響していることがわかってきました。ジムで頑張りすぎると、翌日の練習や実戦の結果に大きな影響が出るのです。こうした気づきは、記録していたからこそ意識できた貴重な情報です。

 記録を「継続して」残すことにも意味があります。通信簿といっても、自分の感覚で点数をつけているだけなのですが、過去のものが並んでいるので自然に数日分を見直せます。1日だけではなく週単位や月単位の推移がとらえられる。上がっている要素、下がっている要素。何となく眺めているだけでも、今の自分の状態がわかります。