また、筆者は複数の方から、「前澤氏の『一人100万円』はベーシックインカムなのでしょうか?」と質問された。近年、人工知能(AI)技術の発達を見て、大量の失業や経済格差の拡大を予想し、ベーシックインカム導入の必要性を訴える「意識の高い人」が目立つようになっている。若手の有名事業家である前澤氏が、ベーシックインカムに目を付けたというイメージを持つ方がいても不思議ではない。

 一定額の現金が無条件に支払われる点で、確かにベーシックインカムと似た面はあり、「もし毎月8万3000円のベーシックインカムがあれば、どんな気分ですか?」と当選者に聞いてみたくなるところではある。

 例えば、ベーシックインカムの存在は、労働意欲に影響を及ぼすのだろうか。あるいは、ベーシックインカムは人の経済行動をどう変えるのだろうか。そういった問題の「何か」が分からないかという興味が湧く。

前澤氏の「社会実験」は
ベーシックインカムの実験ではない!

 しかし、筆者は、前澤氏の今回の「社会実験」は、ベーシックインカムの実験ではないと考える。

 ベーシックインカムが実施される世界と、今回の一人100万円を1000人に支給する実験は、大きく2つの点で異なる。

 1点目として、今回は、対象者が無作為に公平な抽選の下に選ばれるらしい点が挙げられる。すると、当選者の中には平均以上の所得を得ている方が相当数含まれるに違いない。ベーシックインカムは、所得の多寡に関係なく一定額の現金相当物が支給されることに特徴があるので、高所得者にベーシックインカムが支払われた場合の効果も見てみたいところだ。