1つ目の理由は、1970年代から80年代にかけて、星新一、小松左京、筒井康隆などのSF文学の大家が次々に誕生し、大きく発展したことが挙げられる。

 そして2つ目の理由は、アニメ文化の存在だ。SFの世界が小説ではなくアニメとして作品になり、それが国内のみならず、世界へと広がっている。

 例えばハリウッドの大作『ゴジラ』から『攻殻機動隊』、そして最近の『アリータ: バトル・エンジェル』に至るまで、世界の人たちは日本のSFを小説ではなくアニメを通して知る。

 日本では大ヒットとなった『三体』だが、一部報道によると、韓国語版は数百冊しか売れていないという。同じアジア圏にあって、日本と韓国ではこれほどSF小説の読者層の厚みが異なる。

 劉氏は「日本人の多くがSF小説を読む楽しさを知っている。これこそが、『三体』が日本で売れた理由だ」という。

 今後、『三体』シリーズ3部作の残る2作も日本で出版される予定だ。

 劉氏は、「『三体』シリーズの3部作をすでに発売している中国と米国では、読者の反響が非常に似ている。第1部は非常に興味をもって読んでもらい、第2部になると前作よりは興味が薄れる。だが、第3部で、再び、多くの人がものすごい興味をもって読んでくれる。日本も同様ではないか」と話す。

日本でベストセラーを
生み出す中国人作家も

『三体』の日本での大ヒットを機に、中国小説の日本市場での展開に期待を高めているのは、海外著作権エージェントであるタトル・モリエイジェンシーの森健一社長だ。

 森社長は「中国作品の日本での存在感はまだ小さいが、潜在力は大きい」という。

 実際、中国の作家、莫言が2012年にノーベル文学賞を獲得のニュースが流れるや、日本で莫言の小説を出版したことのある出版社各社は、先を争うように増刷を決めた。

 莫言の小説は装丁のデザインをやり直し、書店の最も目につきやすい場所に並べられた。莫言の評判が上がるにつれ、日本の出版界で中国作家に対する需要が押し上げられ、余華、蘇童などの中国人作家の小説が書店に並べられるようになった。