日本の外交的立場は強い
米国に影響を与えられる

 米・イラン、米・北朝鮮、米・中の関係がどういう展開になるにしても、日本は政治・経済・安全保障のあらゆる面で死活的な利益を有する。

 イランをめぐって軍事的衝突が起これば、中東原油に90%近く依存する日本経済は深刻な打撃を受ける。米国と、中国や北朝鮮が衝突することになれば、米国との安保条約を持つ日本を必然的に巻き込む。

 また米中の対決が貿易面に限られたとしても、日本は貿易の20%以上を中国に、15%を米国に依存するだけに、経済への影響は厳しいものになるだろう。

 他方で、実は日本の外交的立場は強い。米国と強い同盟関係にあったからこそ、北朝鮮は日本との交渉に応じ小泉首相の訪朝は実現した。中国は米国との関係が長期的に悪化するという見通しのもとに日本との関係の改善に大きく動き出している。

 またイランが日本に秋波を送るのは日米関係の強さを考え、日本に米国の自制を促すことを期待しているのだろう。

 日本にとっての最善は、米・イラン、米・中、米・北朝鮮間の外交による関係改善であり、戦争がもたらす影響を考えると、衝突は何としてでも避ける必要がある。

 ただいずれの問題も極めて根が深い長年の課題であり、日本の行動が単に外交パフォーマンスに終わることになってはならない。

 中東原油を運ぶ日本船の安全確保のために自衛隊の艦船を送ることや、習近平中国国家主席を国賓で遇することも重要だが、外交は結果を作る作業であり、日本が外交力によって問題解決につなげるには精緻な戦略が必要だ。

 そして何よりも必要なのは米国との緊密な協議であり、戦略調整だ。世界は日本こそがトランプ大統領に影響を与えられるのではとの期待を持っていることを肝に銘じるべきだ。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)