自分の行動が筒抜けになる
アプリが大人気

 だが、こちらに相手の行動が分かるのと同様に、自分の行動も相手に筒抜けなのがZenlyだ。滞在時間を見れば、自宅やアルバイト先を特定されてもおかしくない。SNSをのぞくと「Zenlyやってる人、つながろう」と、見ず知らずの他人と位置情報を共有している若者も数多く存在する。

「デジタルネイティブ世代は、自分のプライベートが公開されることに対して、あまり気にしていない子が多いのです。Instagramのストーリーズに搭載されている『ライブ』という動画配信機能を使い、自分のプライベートを頻繁に発信している子も多いですよ。たとえば、『学校からの帰り道が1人だとつまらないから、誰かインスタライブで話そう』と、通話の代わりにライブ配信をするなど、常に誰かとつながっていたい気持ちが強いのです」

 知らない相手だろうと、誰かと常時コミュニケーションをとっていたい。その気持ちから、不特定多数に個人情報を垂れ流してしまう。SNSの発達によりコミュニケーションがとりやすくなったことで、人と人の距離が異常なまでに近くなっているということなのだろう。しかし鈴木さんは「近くなりすぎるからこそ、彼らはうまく距離をとっていますよ」という。

「たとえば、TwitterやInstagramなどのSNSでは、複数のアカウントを持つことが普通です。高校の友達用、趣味用、とくに仲が良い友達用など、相手によって発信する内容が変わるので、アカウントを分けているみたいです」

 誰とでも近距離というわけではなく、SNSごと、さらにそのアカウントごとで、それぞれの自分の存在を確立し、切り分けるのが、イマドキの中高生の作法のようだ。

「自分がどう見られているかを気にする意識が強いため、アカウントごとにキャラを使い分けるようですね。高校でSNSを利用し始め、大学入学前には大学用のアカウントをつくる、という子が非常に多いです。とくに最近は、入学前にSNS上で『#春から◯◯(進学先の学校名)』というハッシュタグで交流する子も多い。キャラが確立する前に新たなアカウントで、そこでの自分の存在や相手との関係をゼロからつくり上げていくことが一般化してきています」