金融機関の収益を優先して、
お客様の運用が上手くいかないのはビジネスとしておかしい

銀行を監督する金融庁の長官が危惧する金融機関「乗り換え営業」の闇とは?安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師
三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。WEBサイトhttps://ria-japan.co.jp/

 ⑦重要な点は販売手数料、信託報酬コストをお客様に理解していただくこと
 ⑧お客様が高いコストに気づけば、売れなくなり経営が成り立たない、と心配する銀行・証券がある
 ⑨難しい商品を作って詳しくないお客様に売ることや、手数料獲得がお客様より優先されている。お客様の資産を増やせない運用ビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるのでしょうか?

 (解説)投資信託で運用する時のコストは、購入時の手数料があります。そしてお客様にあまり認識いただいていない「隠れコスト」として、信託報酬があります。購入した投資信託から、信託報酬の費用は毎日、差し引かれています。

 これらのコストを、みなさんは正しく理解する必要があります。

 しかし、金融機関の中には、中身がバレてしまったら、「(金融機関にとって)高い収益の商品が売れなくなる」し、商売あがったりになってしまうので、そこまで求めないでくださいとお願いしたケースがあったようです。

 金融機関が従来の方法で今後も収益を上げることを容認して欲しいという要望でした。

 しかし、当時の森金融庁長官は、資産運用はお客様の資産を増やすことが重要であって、金融機関の収益を優先してお客様の運用が上手くいかないビジネスなんておかしい、と警告したのです。

*1 販売会社をここではわかりやすく「銀行・証券」と表現した。実際には銀行、保険、証券などの様々な金融機関が販売会社となる。
販売会社系列をここではわかりやすく「子会社」と表現した。