しかし、過去の着服事件では、発覚したときにはほとんど被告の手元には残っておらず、スッカラカンになっているというのが一般的だ。

 よく知られているのが、2001年に発覚した「青森県住宅供給公社巨額横領事件」だろう。

 公社の元経理担当主幹の男性(逮捕当時44)が、1993年から01年までに約14億5900万円を着服し、チリ人妻に貢いでいた事件だ。

 02年12月12日の青森地裁確定判決によると、94年10月から01年10月までの間、計165回にわたって公社理事長名義の銀行口座から総額14億4600万円を横領した。

 判決ではまた、97年3月にスナックでチリ人妻と知り合って以降、度重なる要求に応じて、チリのレストランや豪邸の資金として少なくとも8億円(被告は約11億円と供述)を贈ったと認定。

 ほかにも気に入ったホステスに1回につき300万円、あるいは700万円を贈ったり、一度にアワビやマツタケを数十万円分購入したりと放蕩三昧(ほうとうざんまい)を尽くしたと指摘された。

 着服が発覚したきっかけは仙台国税局の税務調査だったが、金額は何と青森県民の平均所得348年分に相当するという。公社の内部調査では、約1300万円分は刑事事件の時効となっていた。

回収できるのは微々たる額

 一方、判決は公社が経理を男性に任せきりだったことや、上司が通帳の確認作業を怠ったため、犯行の発覚が遅れたと指摘。杜撰(ずさん)な管理体制を批判していた。

 男性は懲役14年(求刑・懲役15年)が言い渡された。

 公社は男性に着服した約14億5400万円の損害賠償を求めて青森地裁に提訴し、刑事事件の判決言い渡し前の02年10月8日、地裁は全額の賠償を命じていた。