社会保障制度改革がまともに進まない理由は、国会を見ればわかる
全世代型社会保障検討会議の中身を見ると、日本の社会保障の行方は大丈夫かと不安になる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「内閣最大のチャレンジ」は
痛みを伴わない社会保障制度改革

 安倍首相は年頭の挨拶で、今年の内政面の課題について「内閣最大のチャレンジはすべての世代が安心できる社会保障制度へと改革して行くこと」と発言しています。今のまま、財政と社会保障制度の持続性が担保できない中では当然といえる正しい認識とは思いますが、2つの観点から、これまでの改革と同じように威勢のいいかけ声だけで終わるリスクが大きいのではないかと思います。

 1つ目の観点は、その中身です。官邸に設置された全世代型社会保障検討会議の中間報告を見ると、とても社会保障制度の抜本的な改革とは言えません。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai5/siryou1.pdf

 その内容をすごくざっくりと要約すると、まず年金については、現行60~70歳の受給開始年齢の上限を75歳に引き上げるとしています。

 次に雇用については、70歳までの就業機会の確保に向けて、企業に対応を求める(定年廃止、70歳まで定年延長、定年後の継続雇用を現行の65歳から70歳に延長、のいずれか)とともに、中途採用の促進、兼業・副業の拡大を目指すとしています。

 そして医療については、後期高齢者の自己負担を増大させるとしています。具体的には、現状で医療費の自己負担(窓口負担)の割合は70歳未満が3割、70~75歳未満が2割、75歳以上が1割となっていますが、75歳以上の後期高齢者のうち一定以上の所得がある人は、負担を2割に引き上げることとしています。

 これらのうち、年金と雇用については関連法案が今国会に提出されるのですが、これらの改革の中身は、はっきり言えば痛みを伴わない改革、官僚がやれる範囲の改革に過ぎず、とても「内閣最大のチャレンジ」とはいえないし、「すべての世代が安心できる社会保障制度への改革」からはほど遠い内容となっています。看板に偽りありと言わざるを得ません。