数多くのテレビ出演や講演、ベストセラー作家としての顔を持つ明治大学教授の齋藤孝先生と、
『ぴったんこカン・カン』『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』『輝く! 日本レコード大賞』など
数々の人気番組の司会者として知られるTBSアナウンサーの安住紳一郎さん。

TBS『新・情報7days ニュースキャスター』で司会者とコメンテーターとして共演しているふたりは、かつて明治大学で先生と生徒の関係だった。
中学校と高校の国語科教員免許を持つ安住アナは当時、明大の教職課程で齋藤孝先生の授業を受けていた。
そんな師弟関係にあり、日本屈指の話し手であるふたりが、『話すチカラ』について縦横無尽に語り尽くす。

“国語科オタク”を自認する安住アナの日本語へのディープなこだわりは必読。
齋藤孝ゼミの現役明大生を前に、安住アナが熱弁をふるった白熱教室の内容も盛り込む。

学生からビジネスパーソン、主婦まで、日ごろの雑談からスピーチ、プレゼンまで楽しくなる『話すチカラ』が身につく!

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伝わりやすい
話し方、
声の質を
意識する

カラオケをしているとき、「この歌を歌うと、自分の声が一番響きやすいな」と感じることはないでしょうか。

これと同じように、話すことに慣れると、「自分にとって伝わりやすい声のトーン」が見つかります。

伝わりやすい声は、ただの大声とは違います。

ポイントは、頭蓋骨を震わせて骨全体を響かせること。

私は声楽の先生からハミングを教わった経験があります。
その先生はピアニッシモ(きわめて弱く)でハミングしても、大きなホールの隅まで声が響いており、骨全体の響きを感じました。

「んーー」とハミングしながら、頭蓋骨が震える感覚を見つけてみてください。
お風呂で試すと味わいやすいと思います。

このとき身体をゆるめて、リラックスすることが重要です。

私が歌舞伎役者の坂東玉三郎さんと対談したとき、玉三郎さんは「胸を開くことが大事ですよ」とおっしゃっていました。

胸を開いてリラックスすると、自然に声が伝わりやすくなるのです。

また、声に緩急をつけてメリハリで伝える方法もあります。

「声に緩急をつける」というと、多くの人が声を張ったり、抑えたりするイメージを持ちますが、話すスピードにメリハリをつけることが有効です。

日本人が英語を音読するとき、「強弱をつけて読みなさい」と言われると苦労します。
「強く」と言われると、とにかく大声を出してしまうのです。

私はあるとき、英単語をゆっくり読むと強調する効果が生まれることに気づきました。

東京オリンピック・パラリンピック招致のプレゼンテーション(プレゼン)で、滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」と1音ずつ区切ってゆっくり発声していました。

あれこそが、ゆっくり読んで強調するイメージの典型なのです。

ゆっくり区切って読むと「この単語を強調して伝えたい」という意図が伝わります。

私が講演などで論語の言葉を紹介するときも、「ち(知)・じん(仁)・ゆう(勇)」と、ゆっくり発声するように心がけています。
ゆっくり読んで強調したあと、さらにそれを聴き手の皆さんに復唱してもらうと、完全に覚えてもらえます。

聴き手の人数が増えれば増えるほど、ちょっと声を高めにしたほうが伝えやすくなります。

ジャパネットたかたの髙田明前社長も、地声よりも高めの声で通販番組のプレゼンをしていました。

まとめ
 頭蓋骨を震わせて骨全体を響かせる
 ちょっと高い声のほうが話を聞いてもらいやすい
 地声は変えずに人前での話し方だけ変えてみる
 あえて中性的な話し方にしてみるのも効果的