「ええ、あります」

「耳管開放症はね、耳管が開きっぱなしになった状態です」

「でも先生、開きっぱなしなのに、耳がつまった感じがするのはおかしくないですか」

「そうですね。耳管が塞ぎっぱなしになる病気に耳管狭窄症というのがあるんですけど、開放症とよく似た症状になります。耳管開放症はまだ、あまりよく分かっていない疾患で、治療法も確立されていません。耳管機能障害が、耳管狭窄症以外の耳管開放症や耳管閉鎖不全症などでも多いことが分かったのは最近です。耳管狭窄症は、風邪をひいたり、鼻が詰まったりしたときによく起こります。

 一方、耳管開放症は、体重減少、顎関節症、妊娠、ストレスなどが原因で発症することが多い傾向にあります。耳管開放症は、日常生活に支障がないごく軽症の方まで含めると、日本人の5%に見られるとも言われています。患者さんは少なくありません」

「ですよね。じつは私も昔から、今回のような症状になることがしょっちゅうありました。でも、いつの間にか治っていたのに。今回は全然改善しないので、困ってしまって」

「耳管開放症の患者さんは特に30歳代から40歳代の女性に多いんです。体重減少、妊娠、顎関節症、ストレスが影響し、低血圧や自律神経失調症を伴うことが多いのも特徴です。あなたの場合も、妊娠・出産の影響は大きいのではないでしょうか。ストレスもありますよね」

「うーん、確かにストレスはありますが、幸せも感じているので、ストレスとは思っていないんですけど」

薬や手術よりも
生活の改善が大事

 朋子さんが戸惑ったように返答すると医師は言った。

「まず必要なのは、生活スタイルの改善です。お話をうかがっていると、睡眠不足であることは明らかですし、疲労もたまっているようです。出産は大仕事ですからね、産後は育児以外の家事はしないで身体を休めたほうがいいんですけど、1人で頑張りすぎているんじゃないですか。育児だけだって大変なのに。ご主人はちゃんと手伝ってくれていますか」

「ええっと、協力的ではあると思います。でも、彼の仕事も忙しいので、家のことはつい、私が一人でやってしまいます。今、産休中なので、その間だけでも頑張ろうかなと思っています」