コンビニ搾取の連鎖#9Photo by Yoshihisa Wada

今年1月に発覚した、ファミリーマートの本部社員による加盟店での商品の無断発注。ファミマは問題を認めて謝罪したが、「発注業務のサポートをしていた」との見解を崩さず、被害に遭ったオーナーは不満を強めている。ファミマ本部はオーナーに対し、関係した社員へのヒアリングを実施すると伝えたが、その結果や被害額はオーナーに知らされないままだ。特集『コンビニ搾取の連鎖』(全12回)の#9では、発覚後のファミマ本部の対応の在り方を詳報する。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

【お知らせ】「配信予定の変更と経緯について」
 ダイヤモンド編集部は、ファミリーマートの澤田貴司社長へのインタビューを2月19日に実施し、21日にその記事を配信することを予定していました。しかし、18日にファミリーマート広報部より、澤田社長のインタビューをキャンセルしたいとの連絡がありました。広報部はその理由について、「インタビュー実施前の予告編で、本人が話していない内容がさも話したかのように掲載されたこと」「特集『コンビニ搾取の連鎖』で2月17日、18日に掲載された記事の内容が当社の見解と異なること」の2点を挙げています。見解が異なるという具体的な内容については、伝えられていません。本編集部は1月に広報部を通じて澤田社長にインタビューを打診し、取材を受ける旨の回答を得ており、2月10日の段階で質問事項を送付していました。質問事項には無断発注や本部社員の希望退職などに関するものも含まれていました。

無断発注は「店舗のサポート」と弁明する本部
「そもそもサポートではない」と怒るオーナー

「ぜひ、私の無断発注(の発言)よりも盛り上がるように。シラけました? 自虐ネタで申し訳なかったです」──。

 ファミリーマートの澤田貴司社長がこんなジョークを披露したのは1月17日。ファミマが東京・田町の本社で開いた、「あなたが決める! 第2回うまいパン決定戦」の説明会の席上だった。澤田社長のあいさつの後、ファミマにパンを納入している各メーカーの担当者が思い思いの仮装をして、今回のテーマであるチーズにちなんだ自社の商品を熱烈にアピールした。

ファミマうまいパン決定戦仮装したメーカーの担当者と記念撮影するファミリーマートの澤田貴司社長 Photo by Koyo Yamamoto

 澤田社長は昨年12月、ダイヤモンド編集部のインタビュー『ファミマ澤田社長激白、加盟店の過度な負担「反省している」』で、「私が経営している中で無断発注は起きていない」と明言していた。

 ところが、このインタビューを読んだある西日本のファミマの加盟店オーナーの男性から、本編集部に情報提供があった。

 2017年に開店したこのオーナーの店舗で、加盟店への経営指導を担うスーパーバイザー(SV)と呼ばれる本部社員が、店舗のストアコンピューターや端末から商品を無断で発注。オーナーは複数ある発注方法を本部から十分に教わっておらず、このSVは、オーナーに教えていない方法で勝手に発注していた。