先日、厚生労働省より「国民健康・栄養調査(平成30年)」の結果が公表された。今回は初めて「加熱式たばこ」の喫煙状況が調査されている。
喫煙状況全体では、習慣的に喫煙している人の割合は17.8%で、男性29.0%、女性8.1%。10年前の2008年調査時点では男性36.8%、女性9.1%であり、いずれも有意に減少していた。
習慣的喫煙者の男性が使用しているたばこ製品の種類は「紙巻きたばこ」が77.0%、「加熱式たばこ」が30.6%、女性は同84.9%、23.6%だった。
製品の組み合わせでは「紙巻きたばこのみ」「加熱式たばこのみ」「紙巻きたばこ+加熱式たばこ」の割合が、男性は68.1%、22.1%、8.5%で、女性は76.1%、14.8%、8.8%だった。
年齢階級別でみると、男性は年齢が下がるほど「加熱式たばこ」の割合が高く、20~39歳ではおよそ4割を占めた。その影響で「紙巻きたばこのみ」の比率は5割を切っている。一方、女性は20代でも65.5%が「紙巻き」派。各年代で「紙巻き」派が半数以上を占めていた。
少々気になるのが20~59歳の男性喫煙者の1割以上、同女性で1割弱が「紙巻き+加熱式」の両方の喫煙者であること。「加熱式はハームリダクション(より健康被害が少ないたばこへとシフトする)を推進する」というメーカーの主張とは裏腹に喫煙行動を強化する方向に働きかねない。
「加熱式たばこ」の中・長期的な健康リスクは明らかではない。本当にハームリダクションに役立つ「弱毒製品」なのか、米国で使用者の関連死の報告が相次ぎ、規制が強化された「電子たばこ」と同様に「隠れ強毒製品」なのかはわからないのだ。二重にリスクを引き受ける必要はないだろう。
ちなみに、本調査の喫煙者のうち「禁煙意思」がある人は、男性3割、女性4割弱だった。日本人を対象とした調査で、長年の喫煙の影響が消えるには10年の年月がかかる一方、早めに禁煙すれば健康寿命が延びることも明らかになっている。今年は禁煙にトライしてみませんか?
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)