鉄道会社の中には
費用負担を渋るところも

 また高架化や地下化の費用を誰がいくら負担するのか、という問題もある。

「連続立体交差事業では、政府が3分の1、地元の自治体(東京都と特別区もしくは市町村)が3分の1、鉄道事業者が3分の1の費用を負担することになっています。しかし鉄道会社の中には難色を示すところもあります。そもそも前提として、線路上は鉄道会社の土地なので、踏切は行政が『鉄道会社さん、ちょっとここを通させてください』とお願いして作っている立場。そのため、鉄道会社にしてみれば『義務でもないのに何でわれわれがお金を出さないといけないの?行政が負担してよ』と思っている部分もあるのでしょう」

 しかし、仮に線路が地下化されたとしても、地上の土地は鉄道会社の所有物となる(ただしその面積のうち15%は自治体が利用できる)。前述のように踏切は鉄道会社が行政にお願いされて作っているだけだが、そもそも踏切さえなければ踏切事故は起きないし、事故によって鉄道会社が損害を被ることもなくなる。連続立体交差事業は鉄道会社にも大きなメリットがあるのだ。

 地元住民との合意形成が難しく、一部の鉄道会社も腰が重いため、踏切廃止にはまだ相当の時間がかかりそうだ。今後、われわれは踏切とどう付き合っていけばいいのだろうか。

「踏切に罪はなく、むしろ私たちの“命”を守ってくれているもの。踏切を無視した結果、事故が起きてしまうのです。たとえば開かずの踏切がなぜ存在するのかといえば、それだけ自分たちが生活の中でその鉄道を使っているからです。足止めされるのが嫌なら、最初からう回路を考慮して計画を立てるべきだと思います。10分早く出発する、それだけでもいくらかの事故は防げるはずです。将来的には踏切は廃止に向かうでしょうが、開かずの踏切が解消されるのはずっと先の話でしょう」

 当面、踏切との付き合いが続く以上、われわれにできることは“余裕”と“寛容さ”を持つ以外にないのかもしれない。