先輩から後輩へ
鉄道模型・電車撮影の技術継承

 開成中学・高校では、部活動で先輩からの影響を大きく受けることが多いという。いわゆる「撮り鉄」佐藤くんは、「先輩たちから影響を受けて写真を始めました。カメラや構図などの撮影方法も先輩から教えてもらった」と話す。

なぜ鉄道好きは頭がいいのか?名門・開成高校の鉄道研究部員に話を聞く出展するコンテストに向け、ジオラマの勾配までも緻密に計算している

 模型チーフの福田くんは「中学時代から先輩に模型の技術をたたき込んでもらった」という。そんな彼は現在、中学3年生の次期チーフへと技術を引き継ぐ立場となっている。またOBたちも鉄道研究部に来てアドバイスをしてくれるといい、こうした技術伝承が鉄研の発展につながっているという。ただし、決してルールを押し付けられた封建的なものではなく、「良好なタテ社会」が脈々と引き継がれており、年上の人たちとの関わり方なども部活を通して身につけることができるようだ。 

 もう一つ特筆すべきは、勉強と部活動を両立する力だ。言わずもがなの有名進学校である。日々の勉強も大変だろうが、テストの時期にあわせて勉強に集中する時期・部活動に注力する時期と、きちんとメリハリをつけて活動している。

なぜ鉄道好きは頭がいいのか?名門・開成高校の鉄道研究部員に話を聞く2019年度の部誌「乗降場」の一部分。機関車の技術にまつわる方程式・法則が記されていた

 さらに驚くべきことは、鉄道研究部以外にも運動部と掛け持ちしているメンバーが多くいることだ。筆者の勝手な印象ではあるが、研究部の活動ばかりに没頭しているイメージがあったが、実はそうではなかった。ただでさえ忙しい勉学に加えて、その合間を縫っての掛け持ちでの部活動や、全国への合宿などを行うそのタイムマネジメントは大人顔負けのスキルだった。

 研究部の主な活動としては、毎年2回、全国を鉄道を使って旅をする合宿のほかに、鉄道模型や研究成果を発表する「開成祭」がメインのイベントとなる。特に模型展示は大きな見せ場だといい、その作品もかなりのもの。中村くんは「小学生の時に開成祭で鉄研を見学し、その出展を見て開成入学を選んだ」というほど。

 開成祭のもう1つの目玉が「部誌」の存在である。学園祭に合わせて部誌を年1回発行している。大テーマを決めて1人1記事を目安に書いているが、その内容は想像以上にハイレベルだった。

 去年の部誌のテーマは「機関車」で、各自がその枠の中で研究成果を発表している。その中身はというと「物理学で紐解く蒸気機関車の技術」「災害時の鉄道貨物輸送」「中小私鉄の機関車の在り方」など、とても中高生が書いたとは思えないような、高度な視点での論述が展開されている。この辺りはさすが名門中高の学生さんの、鉄道趣味一つとってみても、その聡明さがうかがえる。