今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、ビジネスのパフォーマンスを最大化する入り方を、抜粋して紹介していきます。
サウナに入ると、どうして自動的に心身がコンディショニングされるのでしょうか。
医学的なメカニズムは本書で詳しく説明していますが、ごく簡単に言えば、サウナは人体にとって「非日常的な危機的状況」だからです。
サウナに入ると、熱くて、色々なことを考える余裕がありません。サウナは100度近い超高温であり、世界で一番暑い場所です。人体にとっては、いつもとはまったく違う危機的な環境です。そのため、人体は、サウナの環境に対応できるように集中し、余計なことを考えなくなります。少し哲学的な表現になりますが、内側の自分の感覚に集中し、野生が目覚めてくるイメージです。
そして、次は水風呂です。
極限まで熱せられた体が、今度は冷水につけられます。当然、体は驚きます。そして、人体は再び生命の危機を感じます。先ほどまでは極度に熱かった。でも、今度は極度に冷たい。体内では、自律神経、心拍、血圧、血流量、脳内ホルモンなどをコントロールし、持てるすべての力を総動員して、環境に適応しようとします。
さらに、ポイントとなるのがその後に行う外気浴です。
外気浴を行うことによって、ようやく生命の危機を脱したと判断した人体は、急速に「ととのって」いきます。エネルギーの浪費が止まり、動作が軽くなった脳が、サクサクと動き始めるようになるのです。
肉体も軽やかです。血流が増加したことで、腰痛や肩こりが和らぎます。
こうして「ととのう」ことによって、100%、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮できる状態に心身をコンディショニングすることができます。
「サウナに入る」と言うと、「サウナ室に入る」とイコールだと思っている方が多いかもしれませんが、そうではありません。「サウナ室→水風呂→外気浴」で、体内にめまぐるしい変化を起こすことこそが、「ととのう」カギとなるのです。