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「IT革命のインパクトは現われはじめたばかりである。問題は情報そのもののインパクトではない。人工頭脳のそれでもない。意思決定や政策や戦略に対するコンピュータのそれでもない。10年、15年という、ついこの間まで予測どころか話題にもなっていなかったもの、すなわちeコマースのインパクトである」(『ネクスト・ソサエティ』)
1940年代半ばにコンピュータの出現とともに始まったIT革命は、今日では、IT革命の前から存在していたもののプロセスを変えたにすぎない。情報自体には、いささかの変化ももたらしていない。
ところが、そこへeコマースが現れた。
ドラッカーは、IT革命におけるeコマースの位置は、産業革命における鉄道と同じだという。
いずれも人類にとって、まったく新しく、まったく予想外の展開である。
今まさに、170年前の鉄道と同じように、eコマースが新しい時代を招き入れつつある。経済と社会と政治を、一変しつつあるという。
鉄道が生んだ心理的な地理によって、人は距離を征服した。eコマースが生む心理的な地理では、人は距離を消滅させるのだ。
「eコマースは経済、市場、産業構造を根底から変える。製品、サービス、流通、消費者、消費行動、労働市場を変える。さらにはわれわれの社会、政治、世界観、われわれ自身にインパクトを与える」(『ネクスト・ソサエティ』)