累計27万部を突破! 『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』などプレゼンの定番シリーズ最新刊『パワーポイント最速仕事術』から、効果的なスライドを最速でつくる「パワポ操作法」を紹介します。著者は、ソフトバンク在籍時に、孫正義氏から何度も「一発OK」を勝ち取ったほか、孫氏のプレゼン資料作成も担当しましたが、超多忙だったため、そのような優れたプレゼン資料を「最速」でつくる必要性に迫られていました。その結果生み出された、超実践的な「パワポ仕事術」は、きっと多くのビジネスパーソンの参考になるに違いありません。

パワーポイントで初期設定されている「フォント」を<br />「プロ」が絶対に使わない理由Photo: Adobe Stock

「使用するフォント」はこれに決める

 プレゼン資料で使用するフォントは、「目に入りやすく」「誰でも読める」ものであることが重要です。どんなに魅力的なメッセージが書いてあっても、読めなければ意味がないからです。ところが、パワーポイントでデフォルト設定されている「游ゴシック」は線が細く視認性が低いと言わざるをえません。そこで、私は、必ず次のフォントに変更するようにしています。

パワーポイントで初期設定されている「フォント」を<br />「プロ」が絶対に使わない理由

 キーメッセージは、1枚のスライドにおいていちばん訴えたい部分なので、最も視認性に優れた「HGP創英角ゴシックUB」がベストの選択です。私は、あらゆるフォントでプレゼン資料をつくってモニターに映してきましたが、このフォントは行間も文字間隔も詰まりすぎず空きすぎず、キーメッセージとして使用するにはちょうどいいバランスなのです。

 また、パワーポイントとキーノートを併用する人も増えていますので、その場合には、双方のソフトで互換性のある「メイリオ」をキーメッセージに使うのもおすすめです。

 一方、キーメッセージ以外のテキストで、キーメッセージとの違いを明確にしたいときに使い勝手がいいのが、「MSPゴシック」です。視認性が高いうえに、「HGP創英角ゴシックUB」よりも線が細いフォントなので、キーメッセージとの差異が明確になるからです。

フォントを変える

 では、早速、テキストを入力してみましょう。
まず、テキストボックスを立ち上げます。「挿入」タブの「テキストボックス」をクリック。「横書きテキストボックス」か「縦書きテキストボックス」を選択します(下図参照)。

パワーポイントで初期設定されている「フォント」を<br />「プロ」が絶対に使わない理由[1挿入>2テキストボックス]を開く。[3横書きor縦書き]を選択。

 そのうえで、スライド上の任意の位置で左クリックを押すと、テキストボックスが表示されます。そのボックスに、テキストを入力すればいいのですが、パワーポイントでは「游ゴシック」がデフォルトで設定されていますので、「HGP創英角ゴシックUB」に変更する必要があります。

「フォント」を変更するには、下図のように、テキストボックスを選択したうえで、「ホーム」タブの「フォント」をクリック。表示されるメニューの中から、「HGP創英角ゴシックUB」を選択すれば完了です。なお、スライドマスターを活用すれば、「HGP創英角ゴシックUB」をデフォルト設定することもできます。その設定手順は、『パワーポイント最速仕事術』で詳しく説明しています。

パワーポイントで初期設定されている「フォント」を<br />「プロ」が絶対に使わない理由1テキストボックスを選択。[2ホーム>3フォント]をクリック。4で「HGP創英角ゴシックUB」を選択。

 なお、プレゼン資料を作成するときには、英数字はすべて半角を使うようにしてください。全角英数字が並ぶと、横に間延びした印象を与えるからです。また、全角と半角が交じっていると、英数字の不揃いが目立つため、スライドの見た目が悪くなるうえに、資料の完成度が低く見えてしまいます。そのような印象を与えないためにも、「英数字は半角」を徹底するとよいでしょう。

パワーポイントで初期設定されている「フォント」を<br />「プロ」が絶対に使わない理由
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
2016年株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業者、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。プレゼンテーション協会代表理事、サイバー大学客員講師なども務める。