地震
南海トラフ地震のみならず、内陸地震にも大きな警戒が必要だ Photo:PIXTA

東日本大震災から9年。同様に広範囲にわたって大規模な津波をもたらす南海トラフ巨大地震は、「いつ来てもおかしくない」とわれて久しい。では実際に、南海トラフ地震は発生が待ったなしの切迫した状態なのか。また今後、これに関連して発生が予見される地震はあるのか。東京大学地震予知研究所・地震予知研究センターの佐藤比呂志教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林 恭子)

発生間隔は最短で90年
南海トラフ地震発生の兆候とは

――南海トラフ地震の発生が懸念され続けていながら、いまだに発生していません。現在、南海トラフはどのような状態でしょうか?

 南海トラフ地震は「いつ来てもおかしくない」ともいわれてきましたが、過去の南海トラフ地震の発生間隔から見ると、実はそこまで切迫した状態ではありません。

 歴史的に見て、南海トラフ地震は比較的規則正しい間隔で発生してきた地震です。鎌倉時代の1361年に起きた正平(康安)南海地震から数えても現在までに6回発生しており、その発生間隔は137年、107年、102年、147年、90年です。最も新しい南海トラフ地震である1944年の昭和東南海地震と1946年の昭和南海地震は、その前の1854年に発生した安政東海・南海地震から90年後に起きており、これが最短の発生間隔になっています。

 そして現在は、前回の昭和東南地震から76年を迎える年ですから、最短の発生間隔に照らし合わせても、まだ15年ほど発生までに時間があると考えられます。前回から90年を超えれば、確かに「いつ来てもおかしくない」かもしれませんが、現在はそこまでとは言い切れないでしょう。

南海トラフで発生する地震
出典:南海トラフで発生する地震「過去の地震の発生状況」(地震調査研究推進本部) 
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──南海トラフ地震発生の予兆には、どのようなものが考えられますか。

 南海トラフ地震とは、西南日本の「陸側のプレート」と、その下へ海側から斜めに沈み込んでいる「フィリピン海プレート」との境界面で発生する地震のことを指します。フィリピン海プレートは、スムーズに陸側のプレートに沈み込んでいるわけではありません。プレートの境界がつるつるではないため、両方のプレートが強く固着しており、フィリピン海プレートの沈み込みとともに、陸側のプレートも境界部では一緒に動いてしまいます。

 そして、プレート境界に大きなずれの力がかかって、いつまでも固着状態に耐えられなくなった際に、プレートがひずみを解消しようと大きくずれ動くことで。「南海トラフ地震」は起こるのです。