これまでインサイトでは、会社説明会は会社の雰囲気や社員の人間性を伝えようと1回3時間で行っていたが、Webでは1時間半に短縮。それでも極力、学生に「インサイトに入ったらどんなふうに働けるか」がイメージできるような、若手社員の声をコンテンツに入れたりして工夫を凝らしているという。

 一方で企業側も、面接では学生の雰囲気を直感でつかみ切れない部分もある。

「今までは、面接後にエレベーターまでお見送りする際に、学生さんの素の姿が見られたり、興味のある学生とは追加で言葉を交わしたりすることもできました。しかし、Web面接だとそれも不可能なので、(合否をどうするか)悩んだ学生は2次面接に上げるようにしています」(和田マネジャー)

「コロナの問題がなければ
Web説明会・面接はしていなかった」

 Web説明会や面接を行うにあたっては、大きなメリットとともに、デメリットも否めない。そこで大切なのが、「リアル」との組み合わせだ。

 オンライン上で最終面接まで行ってしまえば、会社も学生もお互いに一度も会わないまま内定となり、入社まで不安な気持ちを抱えるケースも出てくるだろう。

「説明会や初期の面接はオンライン上で行いつつ、最終面接は実際に来てもらって会社の中を見せたり、社長と話したりするなかで(オンライン上では分からなかった)ギャップを埋めることが大切だ」(ネオキャリア・井上事業部長)

 このようにWebを使った採用が急速に広まりつつあるが、インサイトの和田マネジャーも「新型コロナウイルスの問題がなければ、Web会議ツールを採用には使っていなかった」と語るように、対応に迫られて初めて良さに気づく人事担当者は少なくない。今後、インサイトは説明会・面接をリアルかWebか学生が選択できる方法を模索していくという。

 同様に、これをきっかけにしてWebを活用した採用を行う企業が増え、採用市場は大きな変革期を迎えるのではないだろうか。

(ダイヤモンド編集部 林 恭子)