こうした事態を受け、「完全休館となってしまった期間について、普段の売り上げの半額程度を補償する」といったトレーナー救援策を打ち出すジムも出てきているが、それは「まれなケース」(丸山さん)だという。

 パーソナルトレーナーの育成やコンサルティングを行うライフタイム・アスリート代表取締役の安藤宏行氏は「毎週○曜日というように定期的なプログラムを受け持っているインストラクターと比べても、顧客都合でセッション数や料金が流動的なパーソナルトレーナーは特に補償されづらい」面があるのでは、と指摘する。社員ではないので当然、労働組合も存在しない。

 加えて、順調に売り上げているトレーナーほど、「経費削減のために活動場所が1カ所に集中していることも多い」(丸山さん)というから、今回の自粛がトレーナー個人の生活に大きな打撃を与えたことは想像にたやすい。実際、安藤氏の元には「活動場所に困っている」「ジムを紹介してほしい」といった相談が相次いでいるという。

「1カ所集中」が命取りに
どうリスクに備えるべきか

 また、困っているのはジムにいるトレーナーだけではない。学校の部活動やクラブチームに出向いて指導をしている男性トレーナー・池田さん(仮名)は、「休校の影響で、1カ月まるまるキャンセルになった。その部分の収入についてはゼロ。4月以降の見通しも立たず、もちろん補償はない」と声を落とす。

 一方で池田さんは、小規模ジムでアスリートや一般人向けのパーソナルトレーニングを行っており、その業務では売り上げを維持できているという。大手ジムや多店舗型施設が相次いで休業した一方、「マイクロジム」とよばれる小規模ジムは営業を継続したケースが多い。池田さんが働くジムも営業を続けており、「顧客のキャンセル、退会といった影響も今のところない」と話す。

 売り上げ全体の4分の1ほどを占める部活やクラブチーム指導の収入がゼロとなったのは痛いが、小規模ジムでの勤務がリスクヘッジとなり、最悪の事態を避けることができた。池田さんは、「大学などでチーム専属トレーナーをしている人の状況はもっとひどいのではないか」と自身を取り巻く状況を俯瞰する。