このチームの中で、プロダクトマネジャーは「何を作るか」、そして「なぜ作るか」「いつ作るか」を決定する役割を担います。一方エンジニアは「どうやって作るか」、つまり、どのプログラミング言語を用いて開発するか、データベースやネットワーク、インフラについては何を選択するかを決め、開発を担当します。このとき、プロダクトの起案は誰でも構わないことに注意してください。最終的に何を作るかを決断するのがプロダクトマネジャーであり、どう作るかを決めるのがエンジニアだ、ということです。

 ちなみに、日本ではエンジニアが経験を積むと、自動的にマネジメント職となることが多いです。しかし本来エンジニアリングマネジャーは、成長し続ける、強いエンジニアリング組織を構築することに責任を持ちます。

 エンジニアリングマネジャーの役割は、エンジニアがクリエイティブに、生産性高く仕事ができるようにすること。プロダクト、事業の成功ではなく、組織の成長に軸足を置く担当者です。従ってエンジニアリングマネジャーが進もうとする方向は、プロダクトの成功を目指すプロダクトマネジャーとは衝突することもあり得ます。日本では、プロダクトマネジャーをエンジニアリングマネジャーが兼任するケースもしばしば見かけますが、本来、2つの立場を同時にこなすのは難しいはずなのです。

ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ
この3つのバランスを取る役割

 今やプロダクトの継続的な利用をユーザーに促すことは、当たり前になったと先に説明しました。この継続利用を実現するための組織の考え方のひとつとして、「BTCモデル」を紹介しましょう。

 BTCモデルは、グローバルで活動するデザイン・ファーム、Tacram代表取締役の田川欣哉氏が考案した人材・組織・教育のモデルです。ビジネス(B)、テクノロジー(T)、クリエイティブ(C)の3つの要素の有機的な結合が、イノベーションを起こす組織の要となるという考えに基づき、提唱されました。

BTCBTCモデル:Takram田川欣哉氏が提唱 拡大画像表示

 プロダクトがモノからコト化するようになった現在では、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブのバランスを取って、顧客体験やサービスを創出・運営できるような組織づくりが重要となっています。